Beans Basics

左から pinto beans, black-eyed peas, red kidney beans.

アメリカ人はとにかく動物性タンパク質中心の、ヘビーな食生活を おくっているのではないかと思いきや、意外にも意外、アトランタのスーパーでもニューヨーク のスーパーでも、豆類が豊富においてある。まず驚くのがその種類の豊富さ。 どこのスーパーでも、だいだい10種類ぐらい以上の豆はおいてある。それも単品では なくて、3種類や5種類の豆をブレンドしたものも多い。中には15種類もブレンドした カラフルな袋もある。日本でもおなじみな、 soy beansadzuki beans もあるし、おそらく日本の金時豆や白いんげんと 一緒だろうと思われる、red kidney beansbutter beans (Lima beans ) もある。 インド料理ではおなじみの、lentilgarbanzo もある。私が知っている 豆類の中で、アメリカでまだお目にかかったことがないものは、春雨のもとになる 緑豆とお正月に食べる黒豆ぐらいである。それ以外にアメリカで生まれて初めて 見たという豆が一杯ある。pinto beansblack beans black eyed beansnavy beans などである。

従って豆を使った料理も本当に豊富だ。 シンプルに茹でて塩や砂糖、とうがらしなどで味付けした豆類は、南部料理の 付け合せに頻繁に使われる。このように side dish として単品で 煮込む場合、pinto beansbutter beans など、あまりくせのないシンプルな白い豆が 好まれて使われているようだ。さらに豆だけでなく、豚肉とともに煮込むと、 ただ単に付け合せとして添えられるだけでなく、 立派なmain dish として食卓を飾る場合もある。豆と 一緒に煮込む豚肉は、 ham hock などの骨付きの燻製肉がよく使われる。 日本では手に入れるのは非常に困難なので、豚肉を塩漬けした salt pork を手作りするのが、最も南部の味を再現するには お勧めする方法である。 とくに南部では、豚肉と豆を煮込んだ地域独特の伝統的な 豆料理というのがたくさんあり、ルイジアナの red beans and rice N. Carolina Hoppin' John などがとくに有名だ。

料理方法は多様でも、でも基本的な豆の茹で方など、下準備の段階までは、どの豆も結構 似かよっている。最終的にはパッケージの指示に従う必要があるが、最も一般的な方法は over night method と呼ばれるものと quick method と呼ばれるものの二つ。 over night method は洗った豆を 3倍ぐらいの分量の水に6時間以上つけ、水をとり替えて、また3倍ぐらいの水でことこと 柔らかくなるまで煮る。quick method は洗った豆を、3倍ぐらいの分量の水をいれた鍋に入れて、 火にかけ、2分間ぐらい沸騰させる。火を止め、そのまま蓋をして2時間以上ねかしたのち、 柔らかくなるまで煮る。要は水でもどすか、お湯でもどすかの違い。

私は一晩ねかせたあと、水の量は少々少なめにして圧力鍋でゆでる。 圧力鍋は私のような豆好きには必需品、あっという間に豆を軟らかくすることができる。 日本で豆を煮込むようとなると、豆がしわになるとが、つぶれて煮崩れるとか、 細かいことを気にしなければならないけど、アメリカの豆料理はそんなことまったく お構いなし。少々くたくたになるくらいに、気長にじっくり煮込めばいいだけなので、 ぜひ試してみよう。

Rice Basics

日本でもエスニックの食材ばっかりが売ってあるお店に行くと、タイ米やインド米などの 長粒米のお米を手に入れることが出来る。でもまだまだ長粒米の料理が家庭の食卓にあがる という家は少ないようだ。かなり前に日本でお米が不足して、タイ米が日本のスーパーでも 買えるようになった時、タイ米はおいしくないと不満をもらす人がたくさんいたけれど、 おいしくないのは、彼らがきちんとした長粒米の扱い方を知らないからなのだ。

長粒米は同じ米ではあるけれど、私たちが普段食べている、でんぷん質が豊富で甘味が強い 短粒米short grain riceAsian rice とは かなり調理方法が異なる。 Asian rice など長粒米に比べれば、もち米のような ものだ。アメリカでも Asian riceKorean town のような特殊な場所に行けば、非常に安くて おいしい Asian rice が手に入るけど、アメリカで一般的なのは、 このパサパサッとした 長粒米である。理想的な 長粒米の状態は、一粒一粒がくっつかないで、さらさらしていること。パラパラッとした仕上がりに するために、アメリカの料理の本には、水が白っぽくなくなるまでよく洗うこと、と書いてある場合 が多いが、日本のお米のような感覚で、強くこするとお米がぼろぼろと割れて粉々になってしまう。 一方、ベトナムやインドなどのアジアの長粒米を使う場合、出来るだけ粘りがでないようにるるために お米を研がない、というのが一般的である。長粒米と一言でいっても、生産地によって品種が かなり違うので、調理法には注意したい。

アメリカで一般的なお米を炊き方は、アフリカから伝えられた方法で、かなり日本のお米の炊き方に 近い。水の量はどうせ後で捨てるので適当でよいが、かなり大目。鍋に水を入れ、蓋をして強火で火にかける。 沸騰したら、米を入れて火を弱める。2、3分弱火で煮たら、お米がこぼれないように 注意しながら、上澄み液をがさっと全て捨ててしまう。そのまま弱火で 米が半透明になるまで(米の種類によるが、約10分)煮る。 もし塩やバターなどで、味付けする場合は、ここで味をつける。 米に8割程度火が 通ったら、蓋をして10秒ほど火を強くして、鍋のなかに蒸気をたててから、火を消し、そのまま 蓋をして15分以上蒸らす。

この方法は、多少手間がかかるが、米本来の甘味を引き出すことができる。だが水加減や火加減を 一つ間違うと、かなり悲惨は結果になる。もっと簡単にパラパラッとしたお米を炊きたい人には、 ベトナムやタイなど、広く東南アジアで行われている方法をお勧めする。米を炊くというより、 野菜をゆでるような 感覚で、お湯でお米を茹でてしまうのだ。沸騰したお湯に米を入れ、好みの硬さになったら、 火をとめ、お米をざるにあけて出来上がり。失敗することなく、確実にパラパラとした 出来上がりが期待できる。


さらにもっと楽をしたい人は、炊飯器や電子レンジを使えばいい。この場合もお湯をあらかじめ 沸かしておいてから、米を入れる。電子レンジを使う場合は、蓋をすると爆発するので、 ある程度お米が水を吸うまで、蓋をしないで加熱することがポイントだ。

アメリカの長粒米にもいろいろな種類があるが、大きく精米した white rice と、 日本の感覚で言えば、玄米のような brown rice に分類することが出来る。 どちらも基本的な調理方法は同じだが、 brown ricewhite rice よりも大目の水、だいたい米の2.5倍から3倍ぐらいの水を使う。 ゆでる時間も white rice よりも長めに必要だ。

Rice Pilaf

基本的な長粒米のお米の炊き方をマスターしたら、蓋付きの大きめのフライパンで chiken pilaf red rice を作ってみよう。水加減を調節するのがちょっと難しいが、テフロン加工の 焦げ付かないタイプのフライパンを使うと、比較的失敗無く仕上がる。 パラッとした長粒米の独特な感覚は、こういう料理法でこそ生かされる。 中でもシンプルにトマトをベースにして炊き込んだ red ricelow county の代表的なお米料理。辛いものが苦手な人は、レッドペッパーは省略しよう。 シンプルな味付けは誰にでも好まれるだろう。なおアメリカで売られているトマトの缶詰には、 日本でお馴染みなシンプルな水煮缶は意外と少なく、ハーブやガーリックで味付けられているものが 多い。これらの缶詰を使ってもかまわないが、缶詰の塩分はちょっときつめなので、 塩加減には十分注意したい。

Red Beans and Rice

お米と豆類を使った南部料理はとても多い。Louis Armstrong も好んで食べたという Louisiana red beans and rice はその中でも最も有名だ。 Louisiana 出身のルームメイトが よく作ってくれたので、私にとってはこれがアメリカの味だ。

中に入れる具は玉ねぎとセロリ、緑の bell pepper (日本ではパプリカと 呼ばれる大型のピーマン)、が伝統的な作り方のようだが、セロリと パプリカは省いてしまってもかまわない。豆と一緒に粗挽きのソーセージを加えて煮込む。 これが入ってないと、なんとなく間が抜けた感じになるので、入れたほうがよい。南部 では、salt porkham hock など、ダシとして一緒に煮込む加工豚肉食品がとても多い。 これらが手に入り難い日本では、ちょっともったいないけど、ベーコンや厚切りのハムで 代用するか、もしくは豚バラ肉で salt pork を手作りする。 そんな手間とお金がかけたくないと言う人は、コンソメの素などをごく少量一緒に入れて煮込めば、 そこそこの味わいにはなるはずだ。 豆は形がくずれるくらいまで、くたくたに煮てしまう。ルームメイトは ハラペーニョなどを入れてかなり辛めの味付けのも作っていたけれど、カイエンヌ・ペッパーなど あまり辛くない唐辛子で仕上げて、好みでタバスコやホット・ソースなどを食べるときに ふりかけるほうが、多くの人に好まれるのではないかと思う。

南部では伝統的に、white rice が好まれてきたと言われるが、こと red beans and rice のような Cajun/Creole の料理に限って言えば、brown rice の方が好んで使われているように思う。 写真のように、ごはんの中央に beans を盛るのが、伝統的な盛り付け方なのだそうが。 別に brown rice や長粒米が手に入らなくても、 日本の Asian rice にかけて食べても そんなに違和感なく食べられる。甘い金時豆の味しかしらない多くの日本人にとっては、 ちょっとまた新鮮な味わいだと思うが、手頃な材料で作れるので、ぜひ試してみてほしい。

Hoppin' John

black-eyed peas は大きな瞳のような黒い斑点が特徴的な、 アフリカ原産の豆であり、おそらく 奴隷貿易によって、西インド諸島と通じでアメリカ南部にもたらされたものだと思われる。 もともと牛の飼料として使われていたので、cow peas とも呼ばれる。この black eyed beans 数ある豆の種類の中で、black-eyed peas は南部で最もよく食べられているものの一つである。 シンプルに茹でて付け合せにしたり、 サラダにしたり、スープにしたりと、ともかくその メニューの種類が豊富だ。とくに正月に食べると、その年一年間幸福にあやかれると 信じられていて、その中でも正月料理として、最も有名な料理なのがこの Hoppin' John である。 Hoppin' John にご飯を入れないで、 豆だけで煮込んだ Southern black-eyed peas は肉料理の 付け合せにぴったりだ。

Hoppin' John の 名前の由来については数説ある。 一説には、食事の前に子供たちが一度テーブルの周りでジャンプ(hop) する 習慣に由来するとか、また 定かではないが、ゲストを食事に招待することを、S. Carolina では"Hop in John" と呼んでいたからだとか、 またありがちだが、John という人が妻に食事を用意してもらうとき、 "a-hoppin" してたから だとか、さらに言語学者は、西インド諸島でよく栽培された他のアフリカ原産の豆、 "pois pigeon" がなまったものだとか。。。 しかしどの説も決定的ではなく、一つだけはっきりしていることは、 正確なことは、誰も分からないと言うことだ。

名前の由来も数々あるように、 Hoppin' John の作り方も数々ある。最もシンプルなものは、米と一緒に 豆とだしとなる豚肉を一緒に炊き込み、塩と唐辛子だけで味をつけるシンプルなものだが、 素材の味をいかすために、米と 豆を別々に加熱して、最後に混ぜ合わせる方法もある。また、 red beans and rice のように、豆を煮たものを、後からカレーのようにごはんに かけることもあるようだ。ここで紹介するレシピは、もっともシンプルな方法に、野菜と ハーブを加えたものである。

ここで注意しなければならないのは、水加減だ。水が多すぎてリゾットのようになっても うれしくないし、逆に水が少なすぎて焦げ付いてしまうのは、もっとうれしくない。 適切な水の分量は、豆を煮る時間や、米の種類によって異なるので、一概には言い難い。 野菜を煮ることで、かなりの水分が出るので、最初はちょっと少なめかなあと思う程度で十分である。 米を入れたとき、米が水の表面よりとびだすようだったら、少々水を 足せばよいだろう。このときに必要だったら塩を加えて、味を調節するようにする。salt pork から かなりの塩分が出るので注意しよう。

Black Beans

black beans は、メキシコや南米でよく食べられている、小粒の黒豆だ。 クミンやコリアンダーなどのカレー系のスパイスととても相性がよい。 ここで紹介する black bean soup はアメリカ南部料理というよりも、 もともとはキューバ の代表料理。作り方は red beans and rice とあまり変わらない。でも トマトやスパイス類を加えるだけで、またちょっと変わった味が楽しめる。 カレー系のスパイスが入っているから、なんとなくカレーっぽい。ご飯にかけて、 ゆで卵を薬味に添えるところも、またなんとなくカレーっぽくてよい。 black beansHoppin' John のように、お米と一緒に炊き込む食べ方も popular だ。 これもまた、スパイスが効いていてなんとなくカレー風味。豆の種類を変えるだけで、 煮たような調理法でも、全然異なった味わいが楽しめるのが、豆料理のおもしろさだ。

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