アメリカ南部の台所とは

私がはじめて、アメリカ南部の料理を口にしたのは、1990年代の半ばごろで、観光でアトランタのマーティン・ルーサー・キング牧師の記念館を訪れたときです。当時は、その記念館の2階に、アメリカ南部の伝統的な料理を出すカフェがあり、何気にそのカフェで 遅めのランチをとったのが、最初の経験でした。その時、アメリカ にもこんなにおいしいものがあったのかと、とても感激したことをよく覚えています。

そのから10年以上の月日を経て、縁があって、ジョージアにある大学に留学する機会に恵まれた。留学先にジョージアを選んだ理由の一つは、南部に行けば、おいしいものが一杯 食べられる、と思いがあったことは否定できません。

南部料理と同様に、私がアメリカの生活で魅了されたのは、アメリカの家庭ではどこにでもある、大きなオーブンがついたキッチンでした。私は小さなころからお料理とお菓子作りが好きだったので、毎日のようにマフィンやコーンブレッドを焼いていました。留学したばかりのころは、車がなく、日本の食品が売っている郊外のスーパーに簡単には行くことが出来ませんでした。しかし、近くのスーパーでアメリカのお米と豆、豚肉の燻製を買って、新たな南部料理に挑戦することがとても楽しみでした。

そして、留学時代にアメリカ南部での生活について、多くの人に知っていもらおうと、私は小さなHPを始めました。その時にいくつかの南部料理のレシピを紹介したものが、このブログの前身になってます。HPはしばらく間、私自身が料理するための記録用、という存在にすぎなかったのですが、2020年に今のようなブログ形式のWebに作り変えました。アメリカ料理をはじめ、海外の料理やお菓子作りに興味を持ってくれる人たちに、少しでも参考になれればという思いで、日々ブログを更新しています。

最小限の労力で作る

私が料理をつくるときに、心掛けていることはいくつかありますが、やはりもっとも重要なことは、出来るだけシンプルに、楽な方法で作るということです。アメリカで生活してみて気付いてことですが、基本的に日本人はアメリカ人に比べて、どうでもいいことに時間と労力をかけすぎているような気がしました。とくに、ベーキングについてはその傾向が顕著だと思います。細部にこだわったり、余計なひと手間をかけることは、必ずしも悪いことではありません。しかし、日本の家庭の場合、手間暇かけるのが家族への愛情だ、というような間違った思い込みがあるような気がします。私自身は、家族にとって重要なのは、料理を作っている人自身も、常に笑顔でいれることだと考えているので、自分自身が望まない労力や、余計な手間暇は省略するようにしています。

入手しやすい食材や食べる人の好みを考えて、臨機応変に作る

家庭で作る料理とお店で作る料理は、いろいろな面で異なると思いますが、食材の選択の仕方も大きな違いの一つです。お店で作る料理は、常に同じメニューで、同じクオリティーを保つことが必要なので、いつも同じ食材を選ぶ使うことは重要です。しかしながら、家庭での調理というのは、基本的に冷蔵庫にあるものを優先的に使っていくというのが鉄則です。一つのメニューに対して、同じ食材を使いつづける必要はないので、出来るだけ、代替可能な食材についても、記載するようにしています。

一方、海外の料理をつくるにあたって、食材の選択は最も重要なポイントです。出来るだけ、現地の味を尊重しようとするならば、現地で使っている食材と同じものを選べば、絶対に間違いがありません。しかしながら、実質的には、日本で入手が困難であったり、手に入ったとしても、以上にコストがかかってしまったりする場合も少なくありません。従って、日本で作る場合は、出来るだけ、料理のクオリティーを落とさない範囲で、日本の食材や調味料で代替できるものを選んでいます。

伝統的な調理方法を尊重する

最初に日本で料理の仕方やベーキングの方法を覚えると、なかなか最初の覚えた常識から抜け出せないことが多いので、どうしてもアメリカ料理を、日本式にカスタマイズした方法でやろうと考えてしまいがちです。例えば、日本でのベーキングでは、小麦粉は原則、篩ってから使うように、と教わることが多いと思いますが、実際にアメリカのベーキングでは、小麦粉をふるってから料理することは稀です。

また、日本の一般家庭にキッチン設備と、一般的なアメリカのキッチン設備には、色々と違いあるので、それを考慮するあまり、日本流にカスタマイズされたアメリカ料理や西洋料理のレシピが、日本には多すぎると感じています。そうして、カスタマイズされた日本のレシピをみて、さらにカスタマイズの上にカスタマイズを加えていってしまった結果、今日の日本における西洋料理は、伝統的なそれとはまったく程遠い、全く異なったジャンルの料理になってしまったように思います。そのようなユニークなカスタマイズが悪いとは思いませんが、私自身は可能な限り、伝統的な方法、伝統的な味付けを再現したいと考えています。

化学調味料や添加物を使わないで、食材本来の味わいを生かす

アメリカで生活して気が付いたことの一つは、日本人は、所謂「うま味調味料」と呼ばれている類の、化学調味料を使いすぎるということでした。とくに西洋料理には、コンソメやブイヨンなどと呼ばれている、人工的な調味料を使って、スープの味をつけるということが、すっかりとカスタマイズとして定着してしまっているという印象です。また、スパイスやハーブ類を使いこなす知識がなかったゆえに、すでに、いろいろな化学調味料がミックスされた、固形ルーや、ソースの素、サラダ用のドレッシングのようなものが多く市販されており、このような簡易的な方法が、かなり普及しています。しかしながら、伝統的なレシピでは、このような化学的な調味料は使わないで、本来の食材をいかした味わいをいかすような方法で調理しています。

より健康的で栄養価の高いレシピを考案する

アメリカ南部料理は、油を多く使って高カロリーな料理が多いことから、不健康な食事というイメージがもたれがちですが、近年ではアメリカでも、より低カロリーで、より栄養価が高い、健康的なレシピへの需要も高くなっています。基本的には、料理の地域性によって、健康か、不健康なのかが決まるわけではなく、日本料理でも健康的なものと不健康な料理があり、アメリカ料理でも、ヘルシーな料理とそうでないものがある、ということだと私は考えています。より伝統的な調理法や味付けをまもりつつも、健康志向に対応できるような、新たな食材、新たな調理法については、貪欲にとりいれていきたいと思います。

2 Comments

  • 小堀 智恵

    いつも素晴らしいお料理、感動です!
    目で見るだけでも素敵な御馳走。味を想像するだけでおなかが鳴りそう^▽^♪
    アメリカ南部のお料理教室、ぜひ開いて欲しいです。

    • YM

      ありがとうございます。
      コロナの状況が落ち着いたら、お料理教室も考えたいと思います(^^)/

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。