アメリカのケーキがまずい理由
このブログを書き始めてから、2か月ほど経ちました。このサイトを検索サイトで訪れてくれる人が、どんなキーワードを使ってこのサイトにたどり着いたのか、調べることができるのですが、その結果、「アメリカ料理 まずい」というキーワードで、この投稿にたどり着く人が、かなり多くなっています。アメリカ料理のよさを伝えようと思って、ブログを書いているのに、この結果はかなり不本意です。とは言え、背に腹は代えられませんで、その続編として、今回はアメリカのケーキがまいずという問題について書いてみたいと思います。
アメリカで生活したことある日本人が何人か集まり、アメリカのケーキの話になると、皆異口同音に、アメリカのケーキがまずいという話で、かなりもりあがることがあります。普通に美味しくないとか、日本のケーキの方が好きだというような類の話では終わらず、如何にアメリカでケーキを食べることが苦痛であっったか、とういうような話で、一時間以上ももりあがるのです。とくに、友達の誕生会などで出されるバースデーケーキなど、多くの食事を食べた後で、ただでさえおなか一杯だというのに、ボリュームのあるケーキを美味しそうなふりをして、食べなければいけないというような、シチュエーションは拷問に近いというような話です。そんなに嫌なら食べなきゃいいじゃないかと思いますが、なかなかそういうわけにもいかない、というような気持ちは、なんとなく理解できます。
実際に、多くの日本人にとって、アメリカのお菓子に対する一般的な感想は、アメリカはパイやチーズケーキはそこそこ美味しいけど、それ以外のケーキだけはあまり好みではないというものが多いと思います。正直、スターバックスのケーキより、不二家のケーキの方が美味しいと思うという人も結構います。基本的に私はアメリカの食事はかなり好きですが、確かにケーキにおいては、日本人の口には合わないというのは、残念ながら、認めざる負えません。
一般的に多くの日本人がイメージするケーキがどういうものであるかというと、苺のショートケーキのような、卵白や全卵を泡立ててつくる、ふんわりとしたカステラをベースにして、生クリームで飾りつけをしたものです。しかし、このショートケーキ、アメリカにはもちろんないし、欧州でもそれに近いものはみたことないので、おそらく日本のベーカリーが独自に開発して編みだしたものではないかと思います。
それに対して、アメリカのケーキがどういうのであるかというと、まず、卵白や全卵を泡立てて、ケーキをふわふわにするということはしないで、重曹やベーキングパウダーを使って膨らませます。当然、日本のカステラのような繊細な食感はありません。飾り付けは、生クリームよりも、バターとクリームチーズを使ったフロスティングが主流なので、こちらのクリームもかなり濃厚な感じになります。さらに、使われる砂糖の量が、一般的な日本のレシピの三倍は使っているのではないかというほど、大量の砂糖が投入されるので、この甘さに慣れていない人にとっては、確かにかなりの拷問です。飾り付けも日本のケーキのように繊細なものではなく、紫や水色というような、日本のケーキでは絶対つかわないような着色料を使ったりするので、残念ながら視覚的にみても、あまり美味しそうにはみえません。
しかし、これはアメリカのケーキがまずいというよりも、日本のベーカリーの技術が素晴らしく高いということにつきるのではないかという気がします。正確な数値を調べたわけではありませんが、日本は人口比当たりのケーキ屋さんの数が、アメリカ比べるとかなり高いと思います。ケーキ屋さん多いがということは、専門的に洋菓子の作り方を学び、トレーニングを受けた人も多いということです。それゆえに、プロのパティシエが作ったケーキを、誰でも手軽に買える環境が日本にあるということです。
一方、アメリカは日本に比べると、家庭でパンやお菓子を手軽に焼く人が多いと思います。アメリカのキッチンではオーブンは必需品であり、オーブンなしの食生活は考えられません。ケーキはプロのパティシエが焼くものというより、家庭で手作りする伝統が長らく根付いていたということは言えると思います。実際にアメリカのお菓子は、どれも日本での作り方に比べると恐ろしく簡単です。忙しい家庭の主婦が、時間や手間暇をかけなくても、それなりに美味しくできる方方法が好まれてきたといことは、傾向として言えると思います。
私は、かりにプロのパティシエのように上手にケーキが焼けなくても、家庭でお菓子を作るメリットは多々あると思います。従って、家庭でベーキングを楽しむ人が、お店で売っているケーキのように焼くことを、必ずしもゴールにする必要はないと思います。それぞれ、お菓子やパンを作る、目的が違うからです。しかしながら、アメリカの「まずい」ケーキを、わざわざ日本で焼く必要はないので、如何にアメリカ式のケーキを、「美味しく」出来るのか、常に考えています。しかも、家庭で気軽にできる、アメリカ式のベーキングの良さを伝えられることを目指したいと思います。