ミルポアとソフリート
アメリカ料理やフランス料理では、玉ねぎと人参、セロリ、この三つの野菜は、ブロスを作るときをはじめ、シチューやスープ、その他多くの煮込み料理に欠かせないものです。この3つを微塵切りにしして、炒めたもの、フランス料理ではミルポア(mirepoix)と言います。ミルポアは、時間のあるときにまとめて作っておき、小分けにして冷凍しておくと、いろいろな料理にそのまま使えるので、大変重宝します。
ミルポアの材料となる、玉ねぎ、人参、セロリの比率として、アメリカで一般的なものは、玉ねぎが2、人参とセロリがそれぞれ1です。日本のレシピでは、セロリの比率が、やや少ないものが多いようです。おそらく、セロリは人参や玉ねぎに比べると、やや流通量が少ないので、そのあたりの事情を反映しているのではないかという気がします。セロリの葉は、レシピのよって、入れたり入れなかったりするものがあります。セロリの葉は入れすぎると苦くなるのですが、心持ち入れると、風味がますので、私は少しだけ加えるようにしています。
それぞれの野菜を微塵切りにした後、オリーブオイルなどの油を鍋に入れて、炒めていきます。
玉ねぎが透明になって、しんなりとしたら、出来上がりです。
フランスのみでなく、ミルポアによく似た野菜の使い方をしたものは、各国にあります。
イタリアのソフリート (soffritto)
基本的な野菜は、玉ねぎ、人参、セロリで原則ミルポアと変わりありませんが、ニンニク、リーク、エシャロット、その他イタリアンパセリなどのハーブが入ることがあります。ラグーやその他のパスタソースのベースとして使われます。
スペインのソフリート (sofrito)
スペインのソフリートはトマトがベースです。トマト、玉ねぎ、にんにく、青唐辛子を炒めたものを使います。トマトをベースにした、汎用的に使えるソースという感じです。
ルイジアナのホーリートリニティー (holy trinity)
ルイジアナ州の、ガンボやジャンバラヤを作るときに、野菜のベースとなるのは、玉ねぎ、セロリ、グリーンパプリカで、この三つの野菜を炒めたものを、ホーリートリニティと言います。基本的には、人参の入ったミルポアは、アメリカ料理全般においてよく使われますが、ミルポアということは自体は、日本と同様に、ある程度フランス料理の知識のある人でないと認知されていないと思います。その意味において、ミルポアはアメリカ人からみても、外国のものなのです。しかし、ミルポアは外国のものでも、ホーリートリニティーは、ケージャンやクレオールに欠かせないものとして、認識されています。ホーリートリニティーは、ルイジアナのミルポアなのですが、ミルポアが外国のものであるのに対し、ホーリートリニティーは、ルイジアナ独自の文化として受け入れられているのが面白いと思います。