丸鶏をさばく
鶏肉を丸ごと買ってきて料理するという機会は、日本の家庭ではあまりないかもしれません。しかし、アメリカのスーパーには普通に鶏肉がまるごと売っているし、これを買ってきて自分で解体する、というのは特別珍しいことではありません。本来、アメリカ南部のフライドチキンも、丸鶏を買ってきて、それぞれのパーツごとに切り分け、骨ごとフライにするというのが、本来のフライドチキンです。骨がない、スパイシーな大きな唐揚げ、というのは、やはりちょっと南部のフライドチキンとは違うと思います。
さて、鶏肉を丸ごと料理することには、いくつかメリットがあります。まず、普通では食べない、背中の部分も含めて、余すことなく料理できます。背中の部分からは、良質なチキンブロスが出来ます。肉は骨に近い部分が一番美味しいとよく言われますが、骨ごと調理したほうが、スープにしたときはもちろん、ローストしたときもやはり美味しい気がします。そして、胸肉、もも肉、手羽と、同じ鶏肉の、それぞれ部位で異なる味の変化を、一度に楽しむことができます。
実際に丸どりをさばくことは決して難しいことではありません。鶏肉の骨は大きいので、例えば、細かい骨に気をつけなければいけない、アジやイワシを三枚におろすことなどに比べると、はるかに簡単です。ポイントは、包丁を、骨と骨の接続部分に当てて、力を入れないで効率的に切り落とすことです。
今回は、1キロ程度の小ぶりの丸鶏を使いました。冷凍してある鶏肉は、完全に解凍してから切り分けます。解凍する時間が足りない時は、水につけておけば、かなりスピードアップすることできます。内臓部分に水分がたまりがちなので、よく洗って水けを軽くとってから、さばきます。
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最初にもも肉と、手羽を切り落とします。おなかの方から、包丁を入れて、骨の接続部分で切り落とします。
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次に胸肉と、背中の部分を分けます。
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胸肉の真ん中に包丁をあてて、骨にあたるところでそぐようにして胸肉を切り落とします。
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切り離した鶏肉は、ペーパータオルで水気をよくふきとっておきます。
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