81 Cooking Tips

食材の選び方と探し方

 アメリカ料理にかかわらず、海外の料理を日本でつくろうとすると、料理の材料や調味料をどのように 選択するのかは、その国独自のオリジナルな味を再現するにあたって、重要な ポイントになります。幸い今日の東京では、様々な国から実に様々な人々が集まり、その結果、外国の 食物や調味料を手に入れるのも、比較的容易になっています。例え東京で住んでいなくても、ネット上を ふらふらさまよっていると、意外な物も簡単に手に入れることもよくあります。しかしそれでも、どうしてもこれだけはない、ということもあるし、仮にどこかで手に入れられても、その値段が異常に高かったりします。

 そこで、海外の料理を日本で作るときに私が心がけていることは、出来るだけ ローカルな、つまり自分が今住んでいる場所に近いところで生産された食材や調味料を使い、かつオリジナル、その料理独自、現地で食べられる味を出来るだけ 再現するということです。一言で「現地で食べられる味」と言っても、一般化するのは難しいので、「現地で食べても違和感のない味」とでも言った方がよいかもしれません。例えば、私たち日本人が海外へ行ったとき、 日本人からみたとき、特別おいしいとは思わないかもしれないが日本料理として「違和感のない味」 を提供する店と、どう考えてもこれは日本料理とは認められない、という境界線のようなものがあります。人によってその感覚は違うので、客観的にその基準を判別することは難しいかもしれませんが、なんとかオリジナルなものに近づけて、「○○料理もどき」みたいなものにならないようにと気を付けています。

国産で代用できる食材

 実際には、必ずしもアメリカ産の材料にこだわらなくても、他の海外産の食材で十分代用できるものはかなりあります。例えば、アメリカ南部料理で多用する豆類は、中南米産やインド産のものが簡単に手に入れることができるし、実際これらの豆類は品質的ににも全く問題なく使えます。また、アメリカのレシピではあまり使われませんが、日本の似たような食材で、代用できるものもいくつかあります。例えば、常にマッシュルームを使用しなくても、椎茸やシメジを使っても、何ら違和感のないレシピもたくさんあります。実際、今日では日本の食材に対する理解がアメリカでも浸透してきているので、Shiitake mushroomや、Japanese Panko を好んであえて使う料理家も珍しくありません。

 また、日本で手に入れるのはかなり難しいけれども、あえて既製品を買わなくても、簡単に手作りできるというのもあります。例えば、バターミルクはアメリカ南部のベーキングには欠かすことのできない食材ですが、日本で入手するのはかなり難しいです。バターミルクはもともとは、生乳をチューニングしてバターを作ったとき、残った液体のことを言っていたのですが、今日でを低脂肪の牛乳に培養菌を入れて発酵させて作っています。従って、同じように発酵した乳製品である、プレーンヨーグルトを牛乳で3倍から4倍に薄めて使えば、完全な代用品として使用できます。実のところ、バターミルクよりも乳酸菌を使って発酵させたヨーグルトを使った方が、美味しく焼きあがるように思います。自家製バターミルクとして、お酢やレモンジュースを牛乳に入れて、酸化させて利用する方法もありますが、お酢は種類によって風味が異なるので一定の味を保つのが難しく、またレモンを絞るのは手間がかかるし、そもそも果物は高いので、ヨーグルトがお薦めです。

輸入品を使った方がよい食材と調味料

 一方、国産のものでも簡単に手に入るけれど、残念ながら、国産のものはあまりお薦めできないという食材もかなりあります。日本で売られている食材は、基本的には日本の食生活に合わせて製造されているので、一見して同じようにみえる食材や調味料でも、日本製のものは海外製のものと比べると、かなり品質が異なっているというものは、実のところ多いのです。

 まず一つ目は、マヨネーズです。日本のマヨネーズは非常に味が濃厚なので、アメリカ料理をつくるときは不向きです。ベストフーズなど、瓶詰になっているアメリカ製のものがお薦めです。またマヨネーズを手作りするのも一案です。自家製のマヨネーズとアメリカ製の瓶詰マヨネーズの味わいはかなり近いです。

 次に、ウースターソースです。ウースターソースはイギリスのリーペリン社によって1838年に商品化されと言われています(Wiki)。アメリカで一般的に売られているウースターソースは、リーペリンのウースターソースとほとんど同じですが、日本で売られているウースターソースは全くの別物です。リーペリンウースターソースは日本でも手に入れるのは難しくないので、これを使いましょう。

 アメリカ料理は、マカロニアンドチーズなど、かなりチーズを多用する料理が多いのですが、日本でチーズを選ぶときは、少しチーズの種類について知っておく必要があります。チーズは、製造方法の違いから、ナチュラルチーズとプロセスチーズに分けられます。ナチュラルチーズは生乳を発酵して作るので、基本的に原材料は生乳と食塩のみです。一方プロセスチーズは、ナチュラルチーズを粉砕、加熱溶融し、添加物を加えて乳化したものです。チェダーなどのナチュラルチーズは長時間熱を加えると、脂肪分とタンパク質が分離します。マカロニアンドチーズや、チーズを加えて作るビスケットなどは、この分離する性質が、料仕上がりに大きな影響を与えています。基本的に日本で多く流通しているのはプロセスチーズですが、アメリカではチェダーチーズなどのナチュラルチーズが主流です。従って、多少コストを払っても、アメリカ料理を作るときは、輸入品のナチュラルチーズを使うことをお勧めします。アメリカでもたまにVelveeta などのプロセスチーズで作るレシピもありますが、ナチュラルチーズが比較的安価な値段で手に入るアメリカでは、化学添加物の多いプロセスチーズを避ける消費者も多いです。

 チーズと同様に日本で食材を選ぶときに注意したいのは、ソーセージやベーコンなどの加工肉です。アメリカ料理では、ベーコンなどの加工肉をスープなどに入れて煮込み、単なる具材としではなく、スープの出汁をとる目的で使用します。しかし、日本の加工肉はそのような使い方を想定していないので、塩分も低めであり、長時間煮込むと味が薄くなり、化学調味料の味ばかりが残っておいしくありません。これも多少コストをかけてでも、輸入品のソーセージやベーコンを選択することをお勧めします。

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