81 Cooking Tips

外国産米の種類と使い方

 外国産のお米というと、インドやタイのお米で、細長い形をしていて、少しパサパサしている、インディカ米を思いうかべる人が多いかもしれません。粘りがある日本のお米のようなタイプをジャポニカ米、タイ米やインド米をインディカ米、このようにお米を2タイプに分ける分類方法は、1930年代ごろ提案されました。この分類方法は、イネの遺伝子的な違いに着目したものですが、1980年代くらいになると、インディカ米にもジャポニカ米にも、どちらにも属さないような多様な種類のお米の存在に着目されるようになってきました。

 今日、アメリカで最も一般的なお米の分類方法は、このような考古学的な視点によるものではなくて、単純にお米の形に着目して、3タイプに分類する方法です。つまり、細長い形の長粒米 (long grain rice) 、短かくて丸い短粒米 (short grain rice) 、そしてその中間である 中粒米 (medium grain rice) です。お米の形というのは、単純にお米の長さに着目するのではなく、お米の縦の長さと幅の比率についてみます。実際には、お米の品種によって、お米の一粒が大きいかったり小さかったりするので、単純に長さが何ミリ以上であれば、〇粒米であるというように、長さだけで分類できるわけではありません。今回は、この3タイプの分類方法からみて、それぞれのお米の特徴についてまとめてみたいと思います。

Long Grain Rice 長粒米 

 長い方の縦の長さが、お米の幅の長さに対して、おおよそ4倍以上のものをいいます。具体的にはインドのバスマティライス、タイのジャスミンライスなど長粒米に分類されます。伝統的にアメリカで栽培されているお米の多くは長粒米です。ルイジアナのジャンバラヤや、Hoppin’ John のようなアメリカ南部のお米料理も、長粒米で作られています。日本でアメリカの長粒米を入手することはかなり困難なので、タイ米やインド米で代用するといいと思います。インド米よりかは、タイ米の方がアメリカのお米には近いので使いやすいと思います。

 長粒米は、パサパサとした食感が重要なので、一般的には、出来るだけ粘り気を出さずに、炊き上げる方がよいとされています。調理方法としては、湯取り法と呼ばれる、お米を茹でてざるにあける方法や、日本のようにお鍋に水とお米を入れて炊き上げる方法などがあります。アメリカで一般的なお米の炊き方は、日本と同様のものです。蒸らした後すぐにお米をフォークなどでほぐして、出来るだけパサパサとした食感に仕上げるのが理想的とされています。

Medium Grain Rice 中粒米

 長い方の縦の長さが、お米の幅の長さに対して、約2倍以上のものをいいます。リゾットを作るときのカルナローリなどのイタリアのお米、パエリアを作るときのスペインのお米などが中粒米になります。お米自体が小さいので、見た目はかなり日本のお米に近い感じがします。適度の粘りがありますが、火の通りが早く、調理しやすいのが特徴です。移民が多いアメリカでは、世界中の種類のお米を栽培しているので、中粒米ももちろん栽培されています。その中の一つ、カルローズという品種は、日本にも輸入されていて、イタリア産やスペイン産の中粒米より安く入手できるので、リゾットやパエリアを作るときにお勧めです。

Short Grain Rice 短粒米

 お米の短い方の幅が、縦の長さに対して約半分以下のものが単粒米で、日本や中国などの東アジアのお米の多くが含まれます。アメリカでは日本のお米は、概して、Sushi riceと呼ばれることが多いです。中粒米よりもさらに粘りがあり、調理時間も長くかかります。カリフォルニア州を中心に、アメリカでも多くの短粒米が栽培されてきたので、アメリカでも簡単にしかも安く日本と同様の品種のお米を手に入れることができます。寿司を作るときは、短粒米が最適なのは言うまでもありませんが、短粒米は寿司や日本食だけではなく、ライスプディングを作るときに最適なお米と言われることもよくあります。もともと、とろっとした食感がライスプディングの特徴なのですから、最も粘り気のある短粒米が好まれるというのは、よく理解できます。アメリカのお料理だから、何でも長粒米を使うというのではなく、お料理の適正によって、お米を使いわけでいくのが良いと思います。

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