15 パイとタルトとキッシュ,  45 アメリカ南部のお菓子とパン

Apple Pie アップルパイ

フレッシュな林檎を、アメリカ式のパイ生地に挟んで焼いた、アメリカのアップルパイです。アメリカには数多くのパイのレシピがあるのですが、このアップルパイは、アメリカで最もよく焼かれているパイのうちの一つです。感謝祭やクリスマスなど、少しフォーマルな集まりではもちろん、カジュアルなポットラックなどでも、アップルパイは定番のデザートです。焼きたての熱々を食べるのももちろん美味しいですが、前日に焼いたパイを次の日に食べても美味しいです。アイスクリームを添えて食べることが多いですが、ちょっと変わった食べ方としては、チェダーチーズをトッピングして、温めてチーズを溶かして食べるという人もいます。

アメリカのアップルパイは、林檎をフレッシュなまま、パイ生地とともに焼き上げるので、使う林檎の種類によって、出来上がりがかなり違います。通常、アップルパイなど、お菓子やジャムに使う林檎は、日本だと紅玉など、酸味が強くて、火が通りやすい林檎が好まれる傾向がありますが、しかし、必ずしも、紅玉なら、アメリカのアップルパイが美味しくできるというものでもないと思います。紅玉のように水分が多い林檎を使うと、パイを焼いているうちに、中身の林檎がジャムのように煮詰まってしまい、パイの中に大きな空洞ができてしまいがちです。空洞が出来たことによって、美味しさが損なわれることはありませんが、ビジュアルとしては、やはり少々微妙です。

パイの中の林檎の存在感を最大限にいかすためには、あえて、火が通りにくい林檎を使うのがお薦めです。日本で手に入る、いろいろな林檎の品種を試してみた結果、アメリカのアップルパイを焼くのに、最も使いやすい品種は王林でした。林檎の甘酸っぱさが生かされた、フレッシュな感じのアップルパイが出来上がります。

アメリカのパイ生地は、フランス語でpâte brisée(パートブリーゼ)、日本語で練りこみ式パイと呼ばれているものが、一般的です。アメリカでは、ショートクラストペストリー (shortcrust pastry) とも呼ばれることがあります。

アップルパイは、生地で蓋をするタイプの、ダブルパイクラストを使います。生地の作り方は、シングルパイクラストと同じですが、もちろんレシピの分量が違います。ダブルクラストの場合は、量が多いので、フードプロセッサーを使うと、作業が楽です。

パイ生地は、まず、小麦粉に油脂を練りこんできます。油脂は無塩バター、ラード、ショートニングが使われますが、私はバターをメインにして、少量のラードを加えています。ラードを加えると、生地に甘さがでます。バターやラードも、出来るだけ冷やしたものを使うのが原則です。

小麦粉は、中力粉でも薄力粉でもいいのですが、中力粉だとグルテンがでやすく、パイ生地が硬くなりがちなので、どちらかというと、薄力粉をお薦めします。アメリカの一般的な小麦粉はグルテン量がやや多い中力粉なのですが、アメリカ南部では、グルテン量の少ない、White Lily のようなブランドのものが好んで使われる傾向があります。

小麦粉をボールに入れて、バターとラード、またはショートニングを細かく切って加えます。

アップルパイ

泡立て器やマッシャーなどを使って、バターの塊をつぶすようにして、小麦粉に練りこんでいきます。

アップルパイ

塊がほぼなくなったら、氷で冷やした水を少しずつ加えていき、軽く混ぜ合わせます。パイ生地は、小麦粉が油脂類を混ぜすぎないようにするのがポイントです。油脂類の量が多いので、少し、バターの塊が残る程度で、十分です。

アップルパイ

粉っぽさがなくなるまで、水を加えればOKです。あまり練りすぎないように注意します。

アップルパイ

フードプロセッサーを使う場合は、小麦粉と細かく切った油脂類をフードプロセッサーに入れます。2秒程度、攪拌して、油脂類と小麦粉が軽く混ざりあったら、氷で冷やした冷水を加えながら、さらに攪拌します。小麦粉がしっとりした感じなって、軽く抑えると、塊になってひっつくような感じになれば、OKです。フードプロセッサーを使う場合は、油脂類が小麦粉と 混ざりすぎないように注意します。油脂類が完全にとけてしまうと、パイが硬くなってしまいます。

生地を大きめのラップに包んで、丸く形成します

アップルパイ

二等分に分けて、それぞれ円盤状にして、冷蔵庫で1時間程度冷やします。

アップルパイ

林檎を準備します。今回は、一つ220グラムぐらいの林檎を8個使いました。林檎の皮をむいて、芯を取り、厚さ3ミリから5ミリ程度の薄切りにします。林檎は、出来るだけ、林檎の繊維に対して平行方向に切るのがポイントです。くし型に切った後、繊維に対して垂直方向にいちょう切りにすると、焼いているときに水分が出やすくなって、水っぽいアップルパイになってしまいます。林檎は切った後、軽くレモン汁をまぶします。さらに、小麦粉、三温糖、シナモン、ナツメグを入れて、よく混ぜ合わせます。

パイ生地を整形します。最初に、パイ皿の底に敷くパイ生地を作ります。ラップにはさみながら、パイ皿より少し大きめの円形にのばします。

パイ皿には、軽くバターやラードなどを塗っておくと、よりパイ生地がサクッと仕上がります。

ラップをとって、パイ皿に敷きます。

ラップをとって、パイ皿から大きくはみ出している生地を打つ側に折り込むようにして、淵を調えます。

下準備した林檎をパイ皿に入れます。出来るだけ隙間がないようにします。

表面に、細かく切った、バターを表面に散らします。

残り半分のパイ生地も、同じように円形に整形します。パイの上にかぶせせ、淵をしっかりとおさえて、しっかりと蓋をするようにします。

淵を好みの形に飾ります。いろいろな飾り方がありますが、指で波型に整えるのが、一般的な飾り方です。キッチンばさみを作って、放射状に切り込みを入れておきます。少し大きめに、切り込みを入れておくことがポイントです。

卵と大匙一杯の水を器に入れてよくかき混ぜて、刷毛で表面に塗ると艶だしになります。

生地が残ったら、クッキー型で好みの形に抜いて、飾りを作ります。

飾り用の生地を貼り付けたら、さらに上から艶出し用の卵を塗ります。

最後にザラメ糖をふりかけます。焼いている間に、中身の林檎がこぼれてくるので、ベーキングシートを敷いた鉄板の上において焼くようにすると、オーブンが汚れません。最初は摂氏210度程度の高温で30分ほど焼きます。その後、温度を180度に下げて、さらに30分程度、パイ生地と林檎に火が通るまで焼きます。途中で、パイ生地の一部があまりにも焦げ付いてしまいそうだったら、アルミホイルをかけてガードするようにします。

アップルパイは、焼き上がりより、冷めてからの方が、切り分けやすいです。好みで、アイスクリームや泡立てた生クリームなどを添えます。

Apple Pie アップルパイ
準備時間 : 35分
加熱時間 :摂氏 220度のオーブンで 60分
冷却時間 :30分
難易度★★★
【 材料 9-inch (23cm) パイ皿 】
ダブルパイクラスト ——– 1 枚
りんご ———————————- 8 個
レモン汁 —————————— 大匙 2
三温糖 ———————————- 45 g
薄力粉 又は 中力粉 ———— 大匙 3
シナモン (粉) ———————- 小匙 1
ナツメグ (粉) ———————- 小匙 ¼
バター ———————————- 大匙 2

トッピング
—————————————- 1 個
—————————————- 大匙 1
ザラメ糖 —————————— 適宜
【 作り方 】
りんご皮をむいて種をとり、薄切りにする。レモン汁、三温糖、シナモン、ナツメグ、小麦粉をまぶしておく。
オーブンを摂氏210度に温める。
パイ生地の約半分を、二枚のラップにはさんで、パイ皿より3センチほど大き目の円形にのばし、片方のラップをとってパイ皿に敷く。
のパイ皿に1.のりんごを敷き詰め、小さく切ったバターをちらす。
残りの半分の生地も、二枚のラップにはさんで、パイ皿をより少し大きめの円形にのばし、 のりんごを入れたパイ皿にかぶせる。周囲の余計な生地を切り取り、縁をしっかり重ねあわせる。
卵を器に割って、水を大匙1杯加えてよくかきまぜて、刷毛でパイの表面に塗ってから、ザラメ糖を表面にふりかける。キッチンバサミで放射状に切目を入れる。
を温めておいたオーブンに入れて、そのまま30分程強火で焼く。その後温度を摂氏180度に下げてから、林檎に火がとおるまで焼く。生地の表面が焦げ付きそうだったら、アルミホイルをかぶせる。
Double Pie Crust ダブルパイ クラスト
準備時間 : 20分
冷却時間 :60分
難易度★★☆
【 材料 9-inch (23cm) パイ皿 】
薄力粉 ———————————- 300 g
無塩バター ————————— 110 g
ショートニング 又は ラード 30 g
冷水 ————————————– 50 ~ 60 ml
【 作り方 】
小麦粉に細かく刻んだバター、ショートニング ( 又はラード) を加え、バターの塊がなくなるまで、泡立て器などで練りこんでいく。
に氷で冷やした水を大匙1杯ずつ、生地全体が粉っぽさがなくなるまで、少しずつ加えながら混ぜる。
生地をラップにつつんで一時間程度冷蔵庫で冷やす。
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