82 Baking Tips

パラフィン紙、グラシン紙、クッキングペーパー、ベーキングシート、選び方と使い方

 「 パラフィン紙」とか「グラシン紙」などと呼ばれる、オーブンの鉄板に上に敷いたり、焼き型の内側に生地がつかないようにするために敷いたりするときに使うものについて、今回は書いてみたいと思います。

 私は、もう〇十年もの間、ベーキングをしているのですが、これらの紙を何と呼ぶのか、正直ブログを書き始めるまで、あまり意識していませんでした。しかし色々な製菓用品とみていると、実に様々な呼び方をされているので、正直混乱する人も多いではないかと思います。個人的には、パラフィン紙という呼び方をなんとなくしてきましたが、どうやら、このパラフィン紙という呼び方は、かなり古いようです。私がもっている日本語でかかれたベーキングの本の中で、最も古い本では、「パラフィン紙またはわら半紙」と書いてありました。(『ベターホームのお菓子』1983年所版発行)さすがにわら半紙を使ったことはありませんが、「パラフィン紙」と呼ばれる紙は、かなり長い間、日本のお菓子作りで使われてきたということがわかります。同時に、どのような素材の紙が使われるのかは、時代によって大きく変容していっているし、これからも変わっていくであろうということも推測できます。

 厳密にいうと、「パラフィン紙」と「グラシン紙」という呼び名は、製造方法の違いから区別されているのですが、ベーキングをする立場から言うと、それらの製造方法の違いを理解することはあまり重要ではありません。また、「クッキングシート」とか、「ベーキングペーパー」などと呼ばれている紙は、技術的には「シリコン樹脂加工耐油紙」と言うようですが、これも同様に、どのような技術で加工された紙なのか、詳しく知る必要はないでしょう。今後も新たな技法でつくられて新たな紙の種類がでてくることは容易に想像できますが、それらを理解しようと躍起になる必要もないです。

 基本的には、信頼できる製菓材料を売っているお店で、製菓用として売られている紙であれば、どのような名前で売られているかにはかかわらず、ベーキングに使えないということはまずありません。また必ずしも、製菓専門店に売られているものでなくても、十分にオーブンの中で使うことができる、というものも多くあります。例えば、百均で売っている、お弁当コーナーにある、シリコン加工してある おかず用のカップであっても、カップケーキやマフィン作りに使えます。ベーキングで使う紙の用途は、ある程度限られているので、一般的で常識的な使い方をしているかぎり問題はありません。「紙だから、オーブンの中で使えないんじゃないの?」と疑うかもしれませんが、問題ありません。

 しかし今まで使ってきたこれらの紙について、その選び方と使い方について、いくつかのポイントがあるので、少しまとめたいと思います。

 どちらかという古いタイプの紙である、「パラフィン紙」や「グラシン紙」については問題ありませんが、新しいタイプである、「シリコン樹脂加工耐油紙」分類される紙では、両面加工のものと片面加工のものがあるので注意しましょう。片面加工のものは、どちらか裏なのか、使う度に判断しなければいけないので、裏も表で色が異なっているわけではないので、この判断をするのは常に面倒くさい作業です。うっかり間違えると、かなり悲惨な結果になります。一度失敗すると、もう二度と片面加工のものは買うまいと、心に誓うようになると思います。

 「シリコン樹脂加工耐油紙」では、耐熱温度が明記されていることがありますが、そのほとんどが、摂氏250度がとなっているものが多いようです。実際に日本で市販されている家庭用のオーブンで、摂氏250度以上に加熱することが可能なものはほとんどないので、摂氏250度ならば、全てのベーキングに使えると判断して問題ないでしょう。海外製のものや業務用のオーブンを使っている場合でも、250度以上以上に加熱して焼くものは、ピザぐらいです。さすがに450度に温めるピザ窯の中で使うのには無理があります。しかし一般的なオーブンで、通常の使い方をしているのであれば、摂氏250度で全く問題ありません。

 しかし、250度以下のオーブンで加熱していても、焼き型の敷いた紙が焦げてしまったりして、冷や汗をかくというようなことが、ごく稀にあります。どうして紙が焦げるのかというと、焼き型から、大きくはみ出しているからです。オーブンの中の温度は一定ではなく、とくにオーブンの壁面などは温度が非常に高くなります。壁面に直接に紙があたったり、あまりにも紙が壁面に近づきすぎると、紙が燃えだしたりする危険性が高まります。焼き型から紙が大きくはみ出さないようにきっちりとカットして使うようにしましょう。とくに、庫内が狭いオーブンや、オーブントースターを使う場合は注意が必要です。

 そもそもなぜ、焼き型に紙を敷いてから、生地を流し入れるのかというと、焼いたときに生地が型にひっつかないようにするためです。しかし、紙を敷いた後に、油をさらに塗るように書いてあるレシピも、とくに海外のものでは多いように思います。実際は、紙をきちんと敷いておけば、油をひく必要はないのですが、油をひいて作業をした方が、型に紙が固定されて作業が楽になります。少量の油を、糊のように型に塗っておくと、生地を型にスムーズに流し入れることができます。

 最近では、紙ではなく、シリコン製の素材を使った、商品も色々と売られています。使い捨てではないので、ごみを減らすことができるし、頻繁に使う人にとっては経済的です。その都度カットする手間がなくなる分便利ですが、一方でその都度洗う手間が増えます。私も一つ持っていますが、正直、手で洗うには洗いにくいので、食洗機がないとこれら商品を使いこなすのは少し大変かなあという気がします。

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