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アメリカ南部料理で使うスパイスとハーブ

 お料理好きな人のアメリカのキッチンでは、専用のスパイスラックを調理台の上に設えて、20種類近い数のスパイスとドライハーブのボトルが、きれいに並べられているということは少なくありません。お料理の味を決めるうえで、スパイスとハーブを使いこなすことは、非常に重要なポイントになります。アメリカ料理は、インドのカレーのように複雑なスパイスの混合をすることはありません。一つ一つのスパイスをそろえるのはかなり大変なので、あらかじめ、数種類のスパイスを混合した、クレオールスパイスや、ポルトリースパイス、パンプキンパイスパイス、などのミックススパイスも手軽に手に入れることができます。しかしこれらの市販のミックススパイスを使うことも含めて、基本的なスパイスとハーブの使い方を知っていると、料理の幅がぐっと広がるので覚えておいて損はありません。

スパイスとハーブの違い

 スパイスとハーブ、とくに乾燥させたドライハーブは、スパイスと似たような目的で使われることも多く、この2つのものの違いがよくわからないという人は多いと思います。厳密な定義はそれほど区別する必要はありません。あえて言えば、基本的には、ハーブ herb というのは、香りの強い植物の葉のことを言い、それ以外の種子などの部位をスパイスと考えればいいでしょう。例えば、パクチーの葉はハーブとして使用されますが、種子はスパイスとして使用されます。

 ハーブというのは西洋的なものだけを指すと漠然と思っている人もいるかもしれませんが、本来の意味を考えれば、日本的なシソ、青ネギやニラもハーブの一つです。とくに青ネギは、パセリは香菜と同様に、南部料理では多用されているハーブの一つです。

 ハーブは、フレッシュな状態で使うものと、乾燥させて使うもの、もしくはフレッシュでもドライでも使うというものがあります。両方の状態で使うというハーブでも、乾燥させると、もはや別のハーブというくらいに変わることがあり、レシピでフレッシュなハーブを使うと書いてある場合、ドライで代替できないことも多いので、注意しましょう。

粉末タイプか原型タイプか

 多くのスパイスとドライハーブは、原型のまま売られているものと、粉状にして売られているものがあります。粉状になっているものの方が便利なように思いますが、家庭で一回に使う料理の量がそれほど多くない場合は、原則として原型タイプのものを購入することをお勧めします。スパイスもドライハーブも、粉状にすると空気に触れる面が多くなるので、結果として、粉末タイプのものは原型のものに比べて、圧倒的に早く劣化して、香りがなくなります。スパイスもハーブも香りが重要です。多少面倒でも、小さなフードプロセッサーのようなものを購入して、使うたびに粉砕する方が、スパイスやハーブ本来のよさを生かすことできます。

 一方、一部のスパイスやドライハーブは、原則粉末で購入するしか選択がないものもあります。具体的には、ターメリックやパプリカなどです。シナモンは原型のものも売られていますが、粉末にする場合、家庭用のモータで完全に粉状にするのは不可能なので、粉末として使用するシナモンは、最初から粉末で購入します。一方、チャイティーにするときや、ガラムマサラにするときなどは、完全に粉状にする必要がないので、原型を使用するのがお薦めです。

常備しておきたいスパイスとドライハーブ

 スパイスやハーブは、日本の料理ではそれほど多くは使わないので、たまに買っても、次に使うのは3年後、というようなことになりかねません。しかし、ある程度、スパイスやハーブの使い方を覚えると、かなりいろいろな料理で汎用的に使えることがわかってくるので、使用頻度も自然と多くなります。今回は、アメリカ料理を作るときに、比較的に頻繁に使い、常備しておくと便利だと思うものを、使用頻度順にご紹介したいと思います。

黒胡椒

 黒胡椒と白胡椒はどちらも同じ植物の種子ですが、黒胡椒は、熟す直前の緑の実を摘み乾燥させたものですが、白胡椒は、実が完熟してから収穫し、水に浸して外側の皮を軟らかくしてから取り除き、その後に乾燥させたものです。黒胡椒は香りが強く、白胡椒は辛みが際立っています。アメリカ料理で最も使われるのが黒胡椒で、白胡椒は、クレオールスパイスなどのミックススパイスなどに使われます。黒胡椒はないと料理ができないくらい重要なので、絶対に常備しておかなければならないスパイスです。頻繁に使うので、粉末のものを買って、短期間で使いきるようにするのも、悪くない選択です。

月桂樹の葉 ローリエ

 月桂樹の葉を乾燥させたもので、煮込み料理や、ブロスを使うときに使われます。英語でべイリーフ bay leaf と呼ばれるものと、フランス語でローリエlaurier と呼ばれるものは通常同じものですが、日本で違う種類のハーブとして区別されています。日本ではベイリーフとは、インディアンベイリーフIndian bay leafとかシナモンリーフと呼ばれる、インド料理で使われる異なるハーブです。 

ドライタイム

 トマトを使用した料理との相性が良いドライハーブです。クレオールスパイスやポルトリーシーズニングなどのミックススパイスなどにもよく使われます。ミックススパイスにするときは、他のスパイスとともに粉砕することが多いですが、通常は、原型のまま使うことが多いハーブです。フレッシュなタイムは煮込み料理やブロスをつくるときにも、加えられることが多いです。ドライハーブはフレッシュなものに比べると香りがやや劣りますが、フレッシュなものが手に入らない時に、代替することも可能です。

ドライオレガノ

 ドライタイムと同様に、トマトと相性が良いハーブで、ドライタイムとともに使用されることが多いです。オレガノはドライの方が香りが強いので、フレッシュなものが使われることは、ほとんどありません。タイムと同様、ミックススパイス以外の用途で使用されるときは、原型のまま加えることがほとんどです。

ガーリックパウダー

 パンチが強いスパイスなので、ミックススパイスに加えたり、フライドチキンなどの揚げ物の衣に加えたりすることが多いです。タイムとの相性がよいので、チーズを加えたセイボリーなベーキングにも利用されます。ガーリックパウダーは、湿気に弱いので、粉末のものは短期間で使いきることが必要です。それほど頻繁に使わないという場合は、乾燥したニンニクチップを買っておき、使う度に必要な量をフードプロセッサーで粉砕することをお勧めします。他のスパイスと合わせて使うことが多いので、他のスパイスと一緒に粉砕すればいいです。

オニオンパウダー

 オニオンパウダーも、ガーリックパウダーと同様に、ミックススパイスに加えたり、揚げ物の衣に混ぜたりして使用されます。ガーリックパウダーと同様に、湿気に弱いので、これも粉末ものは短期間で使いきらなければなりません。オニオンも乾燥したドライのものが、コストコなどで売っているので、これを買って、使う度に粉砕するのがお薦めです。ただし、コストコのドライオニオンは、少し日本の家庭で使用するには、大きすぎるかもしれません。

パプリカ

 パプリカは、辛くない品種の唐辛子を乾燥させて粉砕させたスパイスです。日本でパプリカと呼ばれている、大型のピーマンとは別のものです。一般的にパプリカにはスモークしたスパニッシュタイプのパプリカと、ハンガリアンタイプのスィートパプリカの2種類あります。スウィートと言っても、甘いわけではないのですが、グヤーシュ goulash などのハンガリアン料理を作るときは、ハンガリーのパプリカを使用したほうがいいでしょう。一般的に日本で売られているのは、スペイン産や南米産のスモークしたパプリカです。

シナモンパウダー

 アメリカのベーキングでは、シナモンと黒砂糖を多用します。パンプキンパイ、アップルパイ、感謝祭にかかせないスィートポテトキャセロールなども、黒砂糖とシナモンの味付けです。日本でもポピュラーなスパイスなので、常備しておいた方がいいでしょう。

ナツメグ

 シナモンと合わせて使われることが多いスパイスですが、粉末のシナモンとは異なり、ナツメグはぜひ原型のものを購入しておきたいスパイスです。使う直前に摩り下ろして使うと、香りが一段際立ちます。アップルパイなどのデザートでも使いますが、料理にも幅広く使えるスパイスです。マッシュポテトや、クリーム系のペシャメルソースに、摩り下ろして少し加えると、料理の印象がガラッと変わります。ぜひ使いこなしたいスパイスの一つです。

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