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感謝祭とアメリカ式のおもてなし

 アメリカでは11月の第4木曜日は、感謝祭 (Thanksgiving)の祝日で、親族や友人が集まり、七面鳥をはじめ、数々の華やかな料理が並べられた食卓を囲む、最も重要な家族行事の一つです。多くの州では次の日の金曜日も祝日となり、この日はブラックフライデーと呼ばれ、クリスマスに向けて、ショッピングシーズンが開幕します。感謝祭から年末にかけては、まさに一年の総決算シーンが到来という感じで、この時期に小売業の年間売り上げの半分がこの一ヶ月に集中するともいわれています。

 クリスマスが宗教的な祝日であるのに対して、感謝祭は宗教的な意味合いはほとんどありません。感謝祭の由来は、イギリスからマサチューセッツ州のプリマス植民地に移住した、ピルグリム・ファーザーズの最初の収穫を記念する行事という解釈が一般的です。純粋に秋に収穫できた美味しい食物に感謝して、皆で食卓を囲むことが、最も大きな目的なので、クリスマス以上に、七面鳥をはじめとして、数々の料理が重要な意味をもっています。

 アメリカのクリスマスには、それほど決まった料理というものはないのですが、感謝祭には、日本のおせちのように、ある程度定着した料理があります。ローストターキー、スイートポテトキャセロール、パンプキンパイ、グリーンビーンキャセロール、などがその主な料理です。スイートポテトやパンプキンなどは、秋の味覚を象徴するものとして、様々な料理法で食されることが多いです。ターキーは、感謝祭の食卓の重要なメインディッシュであり、大きめのターキーを自宅のオーブンで焼いて、クランベリーソースやグレービーソースが添えられます。残ったターキーは、サンドウィッチにしたり、サラダにしたり、スープにしたりして、感謝祭の週末の食卓に、形を変えて並ぶことになります。

 感謝祭では、親族や招待客を含めて、15人ぐらいの食事を賄えるよう、20ポンド(約9キロ)以上の大きなターキーを、用意することも珍しくありません。それだけの量をまかなえるだけの、大きめのオーブンと、食洗機が、アメリカの家庭のキッチンでは、標準的に整備されています。オーブンでターキーを焼いてから、キャセロールを二つほと同時に焼き、最後にパイを二つ焼く、というような使い方を普通にします。これだけの食事を、ごくごく一般的な普通の主婦が、毎年、当たり前のようにこなすのです。ただ単に、料理の量が多いだけでなく、多くの招待客を招いて行われる、感謝祭の食卓は、テーブルセッティングの美しさ、ゲストへの心遣い、全てにおいてアメリカ式のホスピタリティにあふれています。

 実際に、ゲストを自宅に招いて、食事をともにするという機会は、アメリカでは日本とはくらべものにならないほど多いです。子どもの誕生日や、妊娠祝い、ときには自宅で結婚式を行う人もいるくらい、お葬式以外のイベントを全て、自宅で行うといっても過言ではないほど、人々を家に招き、招かれます。アメリカのカリスマ主婦、マーサスチュワートの最初の書籍は、Entertaining でした。彼女は料理が上手だったから、掃除や洗濯が得意だったから、カリスマ主婦になったわけではありません。ゲストを華やかにもてなすための方法とアイデアを広め、多くの人が彼女のセンスの良さに魅了されたから、今日のキャリアを築いたのです。

 さて、最後にこのようなアメリカ式のおもてなしで、ゲストとして招かれたとき、認識しておいた方がいいことを指摘しておこうと思います。基本的には、日本でゲストとして家に招かれるときと同じマナーを守っておけば問題ありませんが、日本との感覚の違いから、注意した方がいいと個人的に思うことを書いておきます。

 まず、時間は厳守しましょう。日本では、ホストは家で待っているだけなので、喫茶店や予約してあるレストランで待っているよりも、もしくは駅の改札などで待ち合わせているときよりも、時間的には融通がつくだろうと考えがちです。しかし、ゲストを招くホストは、会食の始まる時間から、細かく時間を逆算しながら緻密な計画をたて、ベストなタイミングで料理を提供できるように、最善をつくして用意しているのです。指定された開始時間から、早すぎる時間に行くのも、著しく遅れていくのもマナー違反です。

 次に、手土産やギフトについてです。日本ではただで食事をもらうということに抵抗がある人が多く、何かお返しを持っていかなければならない、と考えている人が多いように思います。しかしアメリカ式のおもてなしでは、そのように考える必要はありません。感謝祭などの食事会では、ホストはお返しなど期待していないし、そのような風習もありません。それでも何か、ギフトを贈りたい場合は、何が欲しいか、必要なものがあるか、あらかじめホストに聞いた方が無難です。とくに、ポットラックではない食事会に、何か食べ物をもっていくのは、ホストにとっては迷惑になることもあるので、注意しましょう。

 最後に出来るだけ楽しそうに振る舞いましょう。ホストは見返りなど期待していませんが、ゲストに楽しんでもらえることが、おもてなしをするホストにとっては、一番の収穫なのです。たとえ、実際にはつまらなくても、つまらさそうにしていることは、とても失礼な態度です。

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