82 Baking Tips

全粒粉とグラハム粉

 お米でも胚芽を含んだ玄米の栄養価が見直されているのと同様に、小麦粉でも胚芽と表皮を含んだ、全粒粉が好んで使われることが多くなっています。アメリカのベーキングでは、黒砂糖がよく使われるので、黒砂糖と相性がよい、全粒粉を使ったマフィンなどが、とてもポピュラーです。今回は、日本で市販されている、胚芽と表皮を含んでいる小麦粉の種類と使い方について、まとめてみたいと思います。

 通常、私たちが小麦粉と言っているのは、小麦の胚乳の部分だけを挽いたものであってお米で言えば、精米した白米のようなものです。小麦の外側の部分の表皮と胚芽の部分も含めて、まるごと挽いたものが全粒粉 whole wheat flour です。

 通常の小麦粉とどうように、全粒粉にもグルテンを形成するたんぱく質の含有量によって、薄力粉と強力粉があります。中力粉というのも、定義としては存在するとは思いますが、今のところ、日本ではみたことはありません。全粒粉はお菓子として利用することより、パンとして利用することが多いと思うので、パン用の全粒粉の強力粉というのが大多数なのではないかと思います。

 アメリカではみたことありませんが、日本では小麦ふすまとよばれている、小麦の表皮のみを挽いた粉が売られています。厳密には小麦ふすま bran は小麦の表皮のみを言うようですが、メーカによっては、表皮と胚芽をまぜたものもあります。富澤商店では、胚芽のみを挽いたものも売られています。

 小麦の胚乳部分が全体に占める比率は、約83%ほどです[1]。従って、小麦ふすまや胚芽を、通常の小麦粉の2割弱程度混ぜると、全粒粉と同じような成分になります。通常のベーキングでは、小麦粉と全粒粉は半々ぐらいの比率で混ぜることが多いです。このようなレシピのときは、全てを通常の小麦粉にして、小麦粉と全粒粉を合わせた総量の、一割程度の小麦ふすまや胚芽をまぜると、全粒粉がなくても、全粒粉入りのお菓子やパンが作れます。胚芽は表皮よりも個性的な香りを放つので、小麦ふすまにどの程度胚芽を混ぜるかは、好みによって使い分けるとよいでしょう。

 一方、チーズケーキの土台などで使われる、グラハムクラッカーというものがあります、グラハム粉を使ったクラッカーなのですが、グラハム粉というのも、実は全粒粉と同様の意味で用いられることが多いです。ただ厳密にいうと、グラハム粉と全粒粉は、製造方法が異なります。グラハム粉というのは、シルベスター グラハムという人が考案した小麦粉で、胚芽と表皮を胚乳とは別にして、それぞれ挽きます。表皮と胚芽は胚乳よりも粗く挽くので、全粒粉よりも小麦ふすまの歯ごたえが残った仕上がりになります。

 実際に、全粒粉、グラハム粉、小麦ふすま(胚芽抜きで表皮のみ)を並べてみたものが下の写真です。グラハムの粒子は、小麦ふすまよりもさらに粗いのが分かります。

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