Picadillo ピカディロ
ピカディロ (picadillo) は、挽肉をトマトベースのソースで煮込んで作る、とても家庭的な中南米料理です。メキシコ、キューバ、プエルトルコなど、中南米の旧スペイン植民地の国々で作られているほか、フィリンピンにも独自のピカディロがあります。挽肉は、牛挽肉を使うことが多いですが、必ずしも牛肉とは限らず、地域によっては豚挽肉を好んで使うこともあり、その他鶏肉やターキーの挽肉、さらにはベーガン向けの植物性の挽肉を使う場合もあります。加える野菜は、玉ねぎやパプリカの他に、人参、じゃが芋、グリーンオリーブ、さらには、干し葡萄、ケーパー、グリーンピース、チャヨーテというウリ科の野菜など、国、地域、家庭によって様々です。picadillo の語源は、「細かく刻む」を意味するスペイン語の picar に由来するので、ざっくりと言うと、肉と野菜を切り刻んで作る煮込み料理と言う感じです。
ピカディロは、日本のそぼろご飯のように、炊いたお米にかけて食べることが多いですが、それ以外にも実に様々な食べ方があります。トルティーヤに挟んでタコスにしたり、パイ生地に包んで揚げてミートパイにしたり、コロッケのフィリングにしたり、豆料理に添えて、サイドディッシュとして食べることもあります。冷凍保存ができ、しかも解凍が簡単なので、多めに作って保存しておく家庭が多いです。ピカディロが国境を超えて、多くの人に愛される理由の一つには、料理の汎用性の高さにあると思います。
中南米諸国では、ピカディロの歴史は古く、遅くとも19世紀のレシピ本には、ピカディロの調理法が残っています。フィリピンに伝わったのは、1954年に、フィリピンで、キューバの ジュリア チャイルドと呼ばれる、ニッツァ ヴィラポル (Nitza Villapol) が出版した本がきっかけとされているので、比較的最近です。しかしその一方で、おもしろいことに、中南米諸国でのピガディロの発祥は、全くわかっておらず、ピカディロの原型になるような料理が、スペインに何かある、というわけでもないようです。
今回使った食材は、玉ねぎ、ニンニク、じゃが芋、人参、レーズン、グリーンオリーブ、冷凍のグリーンピースです。玉ねぎとニンニクは微塵切りに、じゃが芋と人参は、角切りにします。グリーンピースは少しパンチのある塩気を補う一方で、干し葡萄は甘さを加えます。ニンニクと玉ねぎ、じゃが芋と人参のうちどちらか一つは、多くのレシピに必ずと言っていいほど入っていますが、他の食材は、省略可能です。その他、パプリカやピーマンの微塵切り、辛さが欲しい時は、青唐辛子の微塵切り、仕上げに、香菜の微塵切りを添えてもいいと思います。
フライパンにオリーブオイルをひいて、中火にかけます。玉ねぎを入れて、半透明になるまで炒めます。玉ねぎが半透明になったら、ニンニクを加えます。
挽肉を加えます。牛挽肉がお薦めですが、豚挽肉や合挽肉でも美味しくできます。
挽肉がほぐれてきたら、塩、クミン、オレガノ、黒胡椒で味をつけます。辛みが欲しい時は、カイエンヌペッパーを加えるといいです。
トマトピューレとブロスを加えます。フレッシュなトマトを使ってもいいし、水煮缶でもいいです。全体を混ぜ合わせて、15分程度煮て、少し水分を飛ばします。
角切りにしたじゃが芋と人参を加えます。
人参が軟らかくなるまで、煮ます。
グリーンオリーブ、干し葡萄、冷凍のグリーンピースを加えます。
軽く混ぜ合わせて、出来上がりです。
Picadillo ピカディロ
加熱時間 :ガスコンロの上で20-25分
難易度— :★★☆
•玉ねぎ (小) ————————– 1 個
•ニンニク —————————— 1 片
•オリーブオイル ——————- 大匙 2
•トマトピューレ ——————- 120 ml
•ビーフブロス☆ 又は チキンブロス☆☆ — 120 ml
•オレガノ —————————— 小匙 1
•クミン (粉) ————————– 小匙 1
•黒胡椒 ———————————- 小匙 ¼
•塩 —————————————- 小匙 ½
•じゃが芋 (中) ———————- 2 個
•人参 (小) ————————— 1 本
•干し葡萄 —————————— 50 g
•グリーンオリーブ —————- 60 g
•グリーンピース (冷凍) ——– 50 g
❷鍋にオリーブオイルをひいて、中火にかける。微塵切りにした玉ねぎを入れて、半透明になるまで炒める。ニンニクを加えて、香りがたつまで炒める。
❸挽肉を加えて、ほぐれてくるまで炒める。塩、クミン、オレガノを加えて、味をつける。トマトピューレとブロスを加えて、15分程度、煮込む。
❹角切りにした人参とじゃが芋を加えて、人参が軟らかくなるまで、火を通す。
❺干し葡萄、グリーンオリーブ、冷凍のグリーンピースを加える。軽くかき混ぜて、火を止める。
☆ Beef Broth ビーフブロス
調理時間 :ガスコンロの上で3-4時間 + 摂氏 190度のオーブンで 25-30分
難易度— :★★☆
•オリーブオイル ——————- 120 ml
•玉ねぎ (中) ————————– 2 個
•人参 (中) ————————— 1 本
•葉付セロリ ————————— 2 本
•赤ワイン —————————— 235 ml
•トマト (中) ————————– 1 個
•イタリアンパセリ —————- 2 枝
•ローリエ —————————— 2 枚
•ニンニク —————————— 3片
•タイムの葉 ————————— 2 枝
•黒胡椒 ———————————- 小匙 1/2½
❷オックステールは余分な脂をそぎ落とし、玉ねぎはと人参は適当な大きさに切る。セロリは葉の部分は切り取り、茎の部分だけを乱切りにする。オリーブオイルをひいた鉄板に並べ、オーブンに入れて30分程度表面を焼く。
❸❷ のオックステールと野菜を深めの鍋に移す。鉄板に残った脂をキッチンペーパーでとる。
❹鉄板に水を少量注ぎ、こびりついた焦げている部分をきれいにするようにして、鍋底を木べらなどでかき混ぜてから、水とともに鍋に戻す。赤ワインと、セロリの葉、トマト、スパイスとハーブ、ローリエを鍋にいれ、材料が十分にかぶるくらいの水を入れる。
❺鍋を火にかけて、長時間じっくりと煮込む。途中、水分が蒸発して足りなくなったら、水を足す。オックステールの骨が簡単にとりのぞけるようになったら、火をとめる。
❻ざるにあけてスープをこす。
☆☆ Chicken Broth チキンブロス
調理時間 :ガスコンロの上で3-4時間
難易度— :★★☆
•玉ねぎ (中) ————————– 2 個
•人参 (中) ————————— 1 本
•葉付セロリ ————————— 2 本
•イタリアンパセリ —————- 2 枝
•ローリエ —————————— 2 枚
•ニンニク —————————— 3 片
•タイムの葉 ————————— 3 枝
•黒胡椒 ———————————- 小匙 ½
❷玉ねぎはくし切り、にんじんとセロリは適当な大きさの乱切りにする。
❸全ての材料を鍋にいれ、材料が十分にかぶるくらいの水を入れる。蓋をしばらく強火にかける。沸騰したら火を弱め、あくと余計な脂分を取り除きながら、蓋をとって弱火で2~3時間程度、煮詰める。
❹鶏肉から骨が簡単にとりのぞけるようになったら、火をとめる。ざるにあけてスープをこす。