Vegetable Broth ベジタブルブロス
ブロスと言えば、長い間チキンブロスやビーフブロスなど、動物性の食材が中心だったので、野菜のみでスープを作ったベジタブルブロスは、どちらかというと、菜食主義の人のための特殊なブロス、という位置づけでした。しかし、2010年代頃から、ヴィーガンなどの菜食主義が一般的に受け入れられようになって、流れが一挙に変わりました。それとともに、ベジタブルブロスの作り方も数々の工夫がされるようになって、多様になってきました。最近のレシピの傾向で顕著なのは、だし昆布や乾燥した茸類を使うことです。これらの素材を使うことで、驚くほど深みのあるブロスが出来ます。
ブロスに干し椎茸や出汁昆布が使われるのは、明らかにこれは日本料理の影響なのですが、shitake mushroomはもちろん、今は konbuもそのまま英語になっています。しかし、英語のレシピを見ていると、昆布をそのまま煮込んだりローストしたりしているので、これはちょっと改良して、昆布は戻し汁のみを使うことにしました。誰が考え付いたのか知りませんが、最初に出汁昆布をベジタブルブロスに使うという試みをした人は素晴らしいと思います。実際に干し椎茸や昆布のうま味によって、チキンブロスやビーフブラスに劣らない、非常に美味しいブロスが出来ました。
ベジタブルブロスの良さの一つは、材料に高価なものを一切使わないので、残り物の野菜を使って、少ないコストできることです。しかしそれだけでなく、煮込み時間が少なくすむので、チキンブロスの約半分ぐらいの調理時間で美味しいブロスが完成します。しかも、脂肪分を含まないブロスなので、非常にヘルシーです。煮込みながら脂を取り除くなどという、面倒な作業もいらないので、非常に簡単です。これでチキンブロスやビーフブロスと同じくらい味わい深いブロスが出来るのですから、野菜を使ったスープはもちろん、本来はチキンブロスを使うような肉類を使ったお料理にも、積極的に使っていこうと思います。
ベジタブルブロスに入れる材料は、基本的なミルポア、玉ねぎ、セロリ、人参に加えて、冷蔵庫の中に余っている野菜を何でも入れてよいという感じです。生椎茸などフレッシュなキノコ類、青ネギ、パセリ、ローリエなどのハーブ、ニンニクなどを使います。キャベツやケール、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜は、かなり風味が強いので、もし使う場合は、量を控えめにした方が、マイルドなブロスになります。フレッシュなトマトを加えると味に深みがでます。フレッシュなトマトがない場合は、トマトペースと大匙1杯程度加えるのをお勧めします。

野菜の中でも、比較的火の通りが遅いものは、厚さ5ミリ程度の薄切りにします。玉ねぎは皮ごと薄切りにします。

人参とセロリの茎の部分、青ネギ、茸類なども薄切りにします。一方、パセリやセロリの葉などは、煮込みすぎると苦みが出てしまうので、大きめにちぎっておきます。


全ての材料を鍋に入れます。

昆布は3時間以上水につけて戻しておき、鍋には戻し汁のみを加えます。

干椎茸は水で20分以上戻し、薄切りにして、戻し汁ごと鍋に加えます。

全ての材料が水に浸るように、水を加えます。

沸騰したら弱火にして、灰汁をとりながら2時間程度煮込めば出来上がりです。

Prep: 20 minutes
Cook: 1-2 hours
Serves: 2000 ml
- 玉ねぎ(中) 2 個
- 人参(中) 2 本
- 葉付セロリ 1 本
- 長ネギ 1 本
- きのこ(マッシュルーム、椎茸など) 115 g
- パセリ 2 枝
- ローリエ 2 枚
- ニンニク 3 片
- タイム 2 枝
- 黒胡椒 小匙 ½
- だし昆布 15 g
- 干しシイタケ 7 g
- トマトペースト 大匙 1
- 昆布は700ml程度の水に3時間以上つけておく。
- 干しシイタケは300ml程度の水につけて戻しておく。
- 玉ねぎ、にんじん、セロリの茎、青ネギ、椎茸は、5ミリ程度の薄切りにしておく。ニンニクはスライスしておく。パセリ、セロリの 葉の部分は適当な大きさにちぎっておく。
- 全ての野菜とハーブを鍋にいれる。昆布は戻し汁のみを加える。干しシイタケは、戻し汁とともに加える。材料が十分にかぶるくらいの水を入れる。蓋をしばらく強火にかける。沸騰したら火を弱め、あくを取りながら、弱火で1~2時間程度煮る。
- ざるにあけてスープをこす。


