Strawberry Paris Brest 苺のパリブレスト
パリブレストは、リング状の形をしたフランスのシュー菓子です。1891年に自転車レースパリ・ブレスト・パリの開催を記念して考案されたものとして知られており、車輪を模して円形に焼いたシュークリームです。オリジナルのパリブレストは、ヘーゼルナッツとアーモンドを使ったプラリネクリームを使うもので、このクリームも超絶美味しいです。今回は、プラリネクリームではなく、カスタードクリームと生クリームを使い、苺を挟んだパリブレストを作ってみました。直径23センチ程度の大きなパリブレストは、存在感があってとても豪華です。
パリブレストは、一見して、普通のシュー生地を円形に絞り出して焼けばいいように見えますが、このように大きなパリブレストを焼くには、ちょっとしたポイントがいくつかあります。シュー生地の中の空洞が、普通のシュークリームに比べるとかなり大きいので、シュー生地を焼いた後、冷ましている間に、シューの中に含まれている湿気によって、せっかく膨らんだシュー生地が萎んでしまうことがあります。これを避けるためには、シューを焼き上げた後、根気強く時間をかけて、低温で乾燥させる必要があります。シュー生地自体を、グルテンの多い中力粉を使い、ハードな食感のある、さくさくとした仕上がりにしておくことも、重要なポイントです。以下、手順ごとに、ポイントを説明します。
まずは、カスタードクリームを作ります。カスタードクリームは、作ってから、冷蔵庫で冷やす必要があるので、一番最初に作ります。
まず牛乳を摂氏80度程度に温めます。もし、バニラビーンズを使う場合は、この時に牛乳と一緒に鍋に入れます。
牛乳を温めている間に、砂糖と卵黄を泡立て器で混ぜ合わせます。
白っぽくなったら、小麦粉とコーンスターチを入れてさらに混ぜます。
温めておいた牛乳を少しだけ加えて混ぜます。一度にたくさんの牛乳を加えると、卵黄が固まってしまうので、少しずつ加えます。
ある程度牛乳を加えたら、鍋に卵液を戻して、中火にかけます。
中火にかけながら、とろみが出るまで、しっかりと泡立て器で混ぜ合わせます。鍋を傾けながら、卵液を常に対流させるようにして、塊ができないようにすることがポイントです。とろっとしたら、火を止めて、さらに粘りがしっかりでるまで混ぜ合わせます。
ボールにあけて、表面にラップをかけて、膜がはらないようにして、冷まします。粗熱がとれたら、冷蔵庫で冷やします。
次にシュー生地を作ります。牛乳、水、無塩バターを鍋に入れて中火にかけます。
バターが溶けて、沸騰したら、火を止めます。篩っておいた中力粉、砂糖、塩を加えて、混ぜ合わせます。
一つにまとまったら、もう一度弱火にかけます。しっかりと粘りがでるまで、力強く混ぜます。生地の水っぽさがなくなり、粘りがでたら、火を止めます。
卵を一つずつ加えて、混ぜ合わせていきます。一つ入れたら、混ぜ合わせて、生地がまとまったら、次の卵を入れる、という作業を繰り返します。
最後の一個、今回は3つの卵を使うので、3個目の卵を入れたら、今度は泡立て器を使って、力強く混ぜます。かなり力がいるので、腕力を付けたいという人以外は、電動のハンドミキサーを使って混ぜ合わせることをお勧めします。
グルテンがしっかりでているので、へらですくって持ち上げても、ぽってりとした感じです。へらですくっても、生地がポタっと三角計に垂れる、というようなことはありません。しかし、これでOKです。
鉄板に上にベーキング用の紙を敷いておきます。少量の生地を糊のように使って、紙を固定しておくと楽です。またケーキ型の底の部分をベーキングシートの下に敷いておいて、目印にします。ケーキ型などがない場合は、お皿などを使って、ベーキングシートの裏面に、鉛筆で円形を描いておきます。
絞り袋に生地を入れて、円形に生地を絞ります。その後、霧吹きで水を軽くかけておきます。あまり、かけすぎて、水っぽくしてしまうと膨らまなくなるので注意してください。また、水の代わりに卵黄を刷毛でぬると、艶出しになります。この場合も、卵黄を塗りすぎて、表面が水っぽくなりすぎないように気を付けます。
表面にアーモンドを細かく微塵切りにしたものをふりかけます。スライスアーモンドを使っていいし、何もかけなくても構いません。
最初に摂氏200度に温めたオーブンで、シュー生地が膨らむまで高温で焼きます。その後、温度を180度に下げて、20分程度焼きます。シュー生地は、急激な温度の変化に弱いので、シュー生地がしっかりと膨らむまでは、オーブンの扉を開けてはいけません。その後、オーブンの温度を徐々に下げながら、時間をかけて、シュー生地を冷ましながら乾燥させていきます。手順は以下の通りです。
- オーブンの火を一度切る。
- オーブンの扉を5センチ程度あけて、5分程度そのままにして、中の水蒸気を外に放出させて、オーブンの温度を下げる。
- オーブンの扉を閉めて、オーブンの温度を摂氏150度の低温に設定して点火する。そのまま15分程度オーブンの中で、乾燥させる。
- オーブンの火を止めて、再びオーブンの扉を5センチ程度あける。15分程度、庫内を冷ましてから、オーブンからシュー生地を取り出す。
- ラックの上にシュー生地をおいて、完全に冷ます。
シュー生地を冷ましている間に、生クリームに粉砂糖を入れて、泡立てておきます。
冷めたシュー生地は、丁度真ん中ぐらいで、水平方向に切ります。
シュー生地の下半分に、カスタードクリームを詰めます。あまり入れすぎないようにします。
今回は、レモンカードをカスタードクリームの上にのせました。レモンカードの代わりに、苺ジャムをつかってもいいし、何もいれなくてもいいです。
半分に切った苺をカスタードクリームの上に並べます。
絞り袋に生クリームを入れて、苺の上に飾ります。
シュー生地の上半分をかぶせます。
仕上げに粉砂糖を軽く振りかけます。
【 材料 9-inch (23 cm) springform cake pan】シュー生地
- 中力粉 90 g
- 牛乳 75 ml
- 水 75 ml
- 無塩バター 55 g
- 砂糖 小匙 2
- 塩 小匙 ¼
- 卵 3 個
- アーモンド(角切り) 115 g
カスタードクリーム
- 卵黄 ½ 個
- 砂糖 60 g
- 牛乳 180 ml
- バニラ エクストラクト
- 小麦粉 大匙 1
- コーンスターチ 大匙 1
- 無塩バター 大匙 2
生クリーム
- 生クリーム 180 ml
- 粉砂糖 大匙 ¾
フィリング
- 苺 100 g
- カスタードクリームを作る。牛乳を鍋に入れて中火にかけて、摂氏80度くらいまで温めておく。卵黄と砂糖をボールに入れて、白っぽくなるまで泡立て器でかき混ぜる。最後に小麦粉、コーンスターチ、を加えて軽く混ぜ合わせる。
- 温めた牛乳を、卵黄を入れたボールに少しだけ入れて、軽く混ぜ合わせる。その後、卵液を牛乳を入れた鍋に戻して、弱火にかける。よくかき混ぜながら、とろみがでてくるまでかき混ぜる。
- とろみがでてきたら、火をとめる。バターとバニラエキストラクトを加えて、さらに粘りが出るまでよく混ぜる。鍋から出して、ボールなど別の容器に入れ、表面に膜がはらないように、ラップで覆いをして冷ます。粗熱がとれたら、冷蔵庫でよく冷やす。
- オーブンを摂氏200度に温めておく。小麦粉と砂糖は篩いにかけておく。
- シュー生地を作る。牛乳、バター、水を鍋に入れて中火にかける。バターが溶けたら、火を止めて、ふるいにかけた小麦粉、砂糖、塩を入れて、よくかき混ぜる。
- 再度弱火にかけて、よくかき混ぜながら、水分を飛ばし、粘り気を出す。
- 火を止めて、卵を一つずつ割り入れながら、よく混ぜ合わせていく。最後の卵を割り入れたら、泡立て器を使って、よく粘りを出すようにして力強く混ぜ合わせる。
- ベーキングシートを敷いた鉄板の上に、内側が直径21センチの円を描くように、絞り袋を使って生地を絞り出す。最後に霧吹きで水をかけて、アーモンドをトッピングする。
- 温めたオーブンで、生地が膨らむまで20分程度焼く。その後温度を摂氏180度まで下げて、さらに20分程度焼く。その後オーブンの火を一度止めて、オーブンの扉に5センチ程度の隙間をあけて軽く開けて、5分程度そのままにして、中の水蒸気を外部に放出させる。再度オーブンの温度を摂氏150度にして15分焼き、シュー生地を乾燥させる。その後、火を止めた後、再度5センチ程度の隙間をあけて、15分程度、庫内を冷ましてから、オーブンから取り出し、ラックの上において完全に冷ます。
- シューを水平方向に半分にスライスする。シューの下半分に。カスタードクリームとレモンカードを敷いてから、苺のスライスを並べる。最後に絞り袋に入れて生クリームを飾り、シューの上半分をかぶせる。