
Pecan Pie ピーカンパイ
ピーカン(pecan)はアメリカ南部や北メキシコのミシシッピ川流域が原産地として知られる、クルミ科のナッツで、アメリカ南部では古くから、様々な料理やお菓子に使われてきました。とくに、ピーカンを使ったピーカンパイは、数多くあるアメリカ南部のパイの中でも、最もよく作られているパイと言ってよいでしょう。時間がたっても美味しく、常温で保存がきくので、ポットラックなどでもよく登場します。
パイのフィーリングは、材料さえそろえれば、基本的には混ぜて焼くだけなので、とても簡単に作れるパイの一つです。フィーリングの材料は、コーンシロップと呼ばれる、トウモロコシから作ったシロップと、黒砂糖や三温糖、卵などです。コーンシロップは製菓専門店などで手に入ります。一般的なアメリカのレシピより、かなり甘さを控えています。

パイ生地は基本のシングルクラストペストリーを使います。フランス語で、パートブリーゼ(pâte brisée) と呼ばれる生地で、アメリカのパイ生地では最もよく使われます。
パイ生地は、まず、小麦粉にバターなどの油脂を練りこんでいきます。今回はフードプロセッサーを使いました。この作業を、泡立て器などを使って、手で行うことも出来ます。

バターが小麦粉におおむね混ざったら、冷水を少しずつ加えながら、混ぜていきます。

全体がしっとりした感じになれば、OKです。粉っぽさが残る程度でいいので、入れすぎないようします。

業務用の大きめのラップにくるんで、一つにまとめます。


手で円盤状に形を整えます。この状態で、冷蔵庫に30分程度ねかせます。

2枚のラップに挟むようにして、麺棒を使い、生地を円形にのばします。

パサつきがちな淵を切り取り、内側に寄せるようにして、形を整えていきます。

パイ皿より、少し大きめの円形にのばしたら、ラップの一面をはがし、パイ皿に生地を入れます。

はみ出た部分を内側に丸めるようにして、淵を整えます。必要に応じて、調理ばさみを使い、余分な部分は切り取るようにします。

底が膨らまないように、フォークで穴をあけて、余計な空気を抜きます。好みで、パイの淵を飾り付けます。指ではさむようにして、波型にするのが、一般的な飾り方です。

ベーキング用の紙やアルミホイルなどをパイ皿に敷いてから、お米や豆などで、重石をします。この状態で、摂氏220度のオーブンで15分程度焼きます。生地がある程度固まって、ベーキングシートが取れるようになったら、重石をとります。さらに重石を取った状態で、7分程度パイを焼きます。

パイのフィーリングを作ります。無塩バターと三温糖、コーンシロップ、モラセスを鍋に入れて、弱火にかけます。モラセスの代わりにメープルシロップを使ってもいいです。焦げないようにかき混ぜながらバターを溶かします。

バターが溶けたら火を止めて、少し冷まして粗熱をとります。

ピーカンは飾りに使うものを、60粒程度とっておきます。

残りのピーカンと卵、好みでウイスキーを加えて、よく混ぜ合わせます。

半焼きにしたパイ皿に、フィーリングを流しいれます。

とっておいた、飾り用のピーカンを形よく並べます。

オーブンの温度を摂氏180度まで下げてから、パイを15分程度焼きます。その後さらにオーブンの温度を摂氏160度に下げて、焦げないように注意しながら、フィーリングが固まるまで焼きます。焼きあがったばかりのピーカンは、崩れやすいので、よく冷ましてから切り分けるようにします。
【 材料 9-inch (23cm) パイ皿】- シングルパイ クラスト 1 枚
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Single Crust Pastry: パイ型の下層部だけにパイ生地を敷き詰めて焼くタイプのパイ生地。フィーリングを詰める前に完全にパイを焼いておくもの、パイを半焼きの状態にしてから、フィーリングを詰めて再び焼くもの、生の生地にフィーリングを詰めて、パイ生地とフィーリングを同時に焼き上げるものがある。
- ピーカン 375 g
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Pecans: アメリカ南部に広く自生している、ピーカンパイをはじめ、南部料理に幅広く利用されているナッツ。味は胡桃に似ているが、胡桃よりはややさっぱりとしている。
- 無塩バター 大匙 4
- 三温糖 70 g
- コーンシロップ 60 ml
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Corn Syrup: とうもろこしから作ったシロップで、ダークなものと白いものがあり、 Karoというメーカーのものが有名。パンケーキのシロップとして、又ピーカンパイを作るとき材料としてよく使われる。
- モラセス 大匙 2
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Molasses: 砂糖を精製するときに出来るシロップ。非常に濃い黒蜜のようなシロップ。
- 卵 3 個
- バーボンウイスキー 大匙 1
- オーブンを425F°(220C°)に温める。
- パイを半焼きにする。温めておいたオーブンで、パイにアルミホイルを敷いて米などで重石をし、パイを12~15分程度焼く。重石をとってさらに7~10分程度焼く。途中で様子をみて、必要に応じて縁にアルミホイルをかける。
- 鍋に無塩バター、三温糖、コーンシロップ、モラセスを加えて、飴状になるまで弱火で焦がさないように煮詰める。
- バターが溶けたら、火からおろして粗熱をとる。
- ピーカンは形のよいもの、60粒程度を、飾り用にとっておく。
- 3.に割りほぐした卵、残りのピーカン、ウイスキーを加えてよく混ぜ合わせて、半焼きにしたパイに敷き詰める。
- 5.でとっておいた、飾り用のピーカンを、6.のパイの表面に飾る。
- オーブンの温度をを350F°(180C°)まで下げる。7. のパイ皿をオーブンに入れて15分程度焼く。その後さらに温度を325F°(160C°)に下げて、表面が焦げないように注意しながら、フィーリングが固まるまで30分程度加熱する。
Single Pie Crust シングルパイ クラスト
- 薄力粉 165 g
- 無塩バター 大匙 4 ½
- ショートニング又は ラード 大匙 1 ½
- 冷水
- 小麦粉に細かく刻んだバター、ショートニングを加え、バターの塊がなくなるまで、フォークで押さえつけるようにして、混ぜ合わせる。
- 1.に氷で冷やした水(約 大匙 2-4杯)を、生地全体がしっとりとまとまるまで、少しずつ加えながら混ぜる。
- 生地をラップにつつんで一時間程度冷蔵庫で冷やす。
- 生地を二枚のラップにはさんで、パイ皿より少々大き目の円形にのばし、片方のラップをとって、油を敷いたパイ皿になじませる。パイ生地が膨らまないよう、パイ生地の底にフォークで穴をあける。縁はパイ皿の大きさに合わせて成型 飾りつける。
- 表面をラップで覆い、焼き上げるまで冷蔵庫もしくは冷凍庫で、パイ皿ごとしっかりと冷やす。