81 Cooking Tips

スープストックとブロス

アメリカ料理を作ると、チキンブロスやベジタブルブロスなど、必要な材料として、ブロス (broth) と記載されていることがとても多いです。ブロスは、日本ではあまりなじみがないので、ブロスって何?と思う人も多いかもしれません。ブロスは、スープをつくときのもとになる出し汁のことなので、どちらかというと、スープストック(soup stock) という言い方のほうが、しっくりする人もいると思います。

スープストック(soup stock)とブロス(broth)はどちらもスープを作るときのもとになる出し汁のことです、アメリカでもどちらの言葉も両方使われます。あえてニュアンス的な違いを言えば、ブロスの方が少し広義の意味に使用されることが多く、汎用的です。ストックは純粋に出し汁だけを指すのに対して、ブロスは調味料で味付けした、出しの味がきいているスープそのものを言うときもあります。例えば、日本のお吸い物のことを、Japanese broth と言ったりします。アメリカではチキンブロスやベジタブルブロスなどが牛乳パックのような容器に入って売られています。塩分で味付けしてあるブロス、塩分が入っていない無塩のもの、それぞれメインとなる素材によって、チキンブロスやベジタブルブロス、ビーフブロスなど、料理に合わせて選べるように、実に様々なものが市販されています。

多くの料理は、出し汁で味がきまるので、きちんとしたブロスができれば、ほぼ8割ぐらい、料理は成功したようなものです。ブロスを作るのには時間はかかりますが、材料さえ用意して、鍋に入れて火にかけておけばいいので、手間はかかりません。自宅で自然の材料だけでつくった出し汁は、化学調味料で味付けしたものとは、明らかに別格なので、ぜひおくせずトライしてほしいと思います。

ブロスを作るのが面倒くさい場合、料理によっては、市販のスープの素のようなもので代用してもいいと思います。しかし、とくにケイジャン料理やテックスメックス料理など、スパイスを多用した料理は、本来のスパイスの風味を打ち消してしまうので、あきらかに化学調味料との相性が悪いです。そもそも、西洋料理には、スープの素をいれなければいけない、という単なる思い込みや慣習で使っていませんか?実際、日本で販売されている化学調味料は、あくまでも日本の食文化にあわせて開発されたものなので、中途半端な化学調味料を使うくらいなら、水で作った方がはるかに美味しい場合もあるのです。

基本的にどのブロスの作り方も、材料を水とともに鍋に入れて、ぐつぐつと煮続ければ出来上がりです。ブロスに使う鍋は、寸胴で縦長なものが推奨されますが、材料と水が十分にいれられる、大きめのものであればなんでもよいと思います。また短期間で作りたい場合は、圧力鍋で作るのがお薦めです。動物性の食材で作るブロスは、圧力をかけて、肉が骨から簡単にはずれるようになり、ほろっと煮崩れるくらいになったら、基本的にブロスは完成です。植物性の食材だけで作るブロスは、もっと短時間で仕上がります。時間をかけて煮詰めれば、ブロスは濃いめに仕上がります。もし濃いめのブロスを作りたい場合は、蓋をとって、好みの濃さになるまで煮詰めます。

Chicken Broth チキンブロス

ブロスなかで、最も使用用途が多いのはチキンブロスです。チキンブロスはチキンヌードルスープチキンアンドダンプリングチキンソーセージアンドガンボなど、鶏肉を使った料理全般に使えるほか、野菜がメインのものや牛肉を使った料理にも、汎用的に使えます。鶏肉は動物性のたんぱく質の中でも安価なので、作りやすいし、どんな食材にもあわせやすい食材です。日本では、出し汁用の鶏ガラが大手のスーパーなどで売っているので、これを利用すれば簡単です。鶏肉を丸ごと購入したときに、鶏ガラの部分だけを冷凍保存しておいて、後で時間があるときにブロスにするのも経済的です。

チキンブロスは、鶏ガラ、玉ねぎなどの野菜、香りづけのために入れるハーブ類などで作ります。鶏ガラと野菜は共通で、ハーブの種類を変えると、西洋風の出し汁だけでなく、中華風やベトナム風の出し汁ができるし、鶏の水炊きなど、和風の料理にも使えます。どんな料理につかうのか、目的が明確でない場合は、鶏ガラと玉ねぎ、セロリ、人参、ニンニクだけのシンプルな材料で出汁をとり、幅広い料理に利用できるようにしておくと、重宝します。ブロスをシンプルに作って、ハーブやスパイスなどは、ブロスを調理するときに、後から追加します。

チキンブロス
Roasted Chicken Broth ローステッドチキンブロス

ローステッドチキンブロス (Roasted Chicken Broth)は、フレッシュな鶏ガラのかわりに、ローストした鶏ガラを使って作る、チキンブロスです。一度焼いた肉と骨を使うので、フレッシュな鶏肉を使う通常のブロスより、より濃厚な風味が残るのが特徴です。通常のチキンブロスと同様に、鶏肉を使った料理全般に使えます。

ローステッドチキンブロスは、ブロスを作るために鶏ガラをオーブンで焼いてから作ることもできます。しかしどちらかというと、より一般的な作り方は、丸鶏をローストしたときに残った、鶏の胴体の部分を使って、ブロスを作る方法です。具体的には、こちらの投稿を参考にしてください。

ローストチキンスープ

丸鶏のローストチキンの残りでブロスで作るときの注意点は、丸鶏には、すでに味がついているということです。すでに味がついている鶏ガラ作ったたブロスも当然、ローストチキンの塩やスパイス、ハーブで味がついています。ブロスの風味をいかに上手にいかして、料理をリメイクできるかが、ローストチキンブロスを使いこなすポイントです。

Beef Broth ビーフブロス 

牛肉を使ったブロスです。ビーフシチューチリなど、牛肉を使った料理全般をはじめ、ホッピンジョンなど、豆を使った料理にも使うことがあります。もっとも、牛肉を使った料理でも、牛肉は動物性たんぱく質の中でも、最も高価で入手しにくいので、ビーフブロスの代わりに、チキンブロスを使っても全然かまいません。そもそも、牛肉自体に風味があるので、ブロスを使わないで、水だけで煮ても十分美味しい、という料理も多くあります。

ビーフブロスは、骨つきの牛肉を使って出汁をとりますが、オックステイルが比較的入手しやすく使いやすい部位だと思います。

全ての材料を30分程度表面を焼いて、軽く焦げ目をつけてから煮込みます。一度ローストして、軽く食材に焦げ目をつけることによって、より風味が増します。

Vegetable Broth ベジタブルブロス

肉をつかわないで、植物性の材料だけで作る、ベジタブルブロスです。かつては、菜食主義の人のための特殊なブロス、という位置づけでしたが、菜食主義が一般的に受け入れられようになって、流れが一挙に変わりました。同時にベジタブルブロスの作り方も数々の工夫がされるようになり、きのこ類などを使って、深みのあるブロスが出来るようになっています。豆類など、野菜を中心にしたスープにはもちろん、チキンブロスの代わりにベジタブルブロスを使うレシピも多くなっています。

ベジタブルブロスに入れる材料は、基本的なミルポア、玉ねぎ、セロリ、人参に加えて、冷蔵庫の中に余っている野菜を、臨機応変に使います。生椎茸などフレッシュなキノコ類、青ネギ、パセリ、ローリエなどのハーブ、ニンニクなどです。加えて、干し椎茸などの乾燥した茸を、戻し汁とともにブロスに加えると、風味が強くなります。さらに、少量のトマトやトマトペーストなどを加えるとうま味が増量します。

ベジタブルブロス

ベジタブルブロスのメリットは、煮込み時間が短時間で済むことです。野菜がしんなりとして、野菜のうま味がスープに十分に抽出されたら、出来上がりです。

ブロスの保存方法

自家製のブロスは、化学調味料を使ったものに比べて傷みやすいので、保存には注意が必要です。ブロスが出来たら、笊にあけて、スープをこします。こしたスープは、粗熱をとってから、冷蔵庫で保存します。チキンブロスとビーフブロスは、脂が表面にういてくるので、脂肪分をとりたくない場合は、表面の脂をとりのぞくと、さっぱりと仕上がります。冷蔵庫で保存できるのは3日程度なので、すぐに使わない場合は、冷凍保存します。製氷皿を使って冷凍すると、少量必要なとき、必要な分量だけ使用でき、かつ解凍も楽なので便利です。

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